弦楽六重奏曲第1番 (ブラームス)

弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 作品18

ヨハネス・ブラームスが1860年に作曲した弦楽六重奏曲第1番は、彼の若々しい才能が光る作品です。27歳という若さで作曲され、情熱的でロマンティックな曲想が特徴です。

作曲の背景

ブラームスは弦楽四重奏曲の分野において、ベートーヴェンの偉大な足跡が重くのしかかり、なかなか作品を発表することができませんでした。しかし、弦楽六重奏曲という分野においては、古典派の巨匠たちが手がけた作品が少なかったため、比較的自由な気持ちで作曲に取り組むことができたと言われています。

ヴィオラとチェロを愛し、重厚な響きを好んだブラームスは、2本ずつ配置されたヴィオラとチェロの豊かな音色を存分に活かし、深みのある響きと陰影に富んだ叙情性を表現することに成功しました。シューベルトが晩年に作曲した2本のチェロを含む弦楽五重奏曲から影響を受け、弦楽四重奏にヴィオラとチェロを加えるという着想を得たとも伝えられています。

編曲版

この楽曲は、作曲者自身によって第2楽章がピアノ独奏用に編曲され、「主題と変奏」としてクララ・シューマンの誕生日に贈られました。このピアノ編曲版は1927年に出版されています。また、全曲の編曲としては、ブラームス自身による四手ピアノ版や、テオドール・キルヒナーによるピアノ三重奏版が存在します。キルヒナーは弦楽六重奏曲第2番とともに編曲を手がけました。

曲の構成

この楽曲は、以下の4つの楽章で構成されています。

第1楽章 Allegro ma non troppo、変ロ長調
第2楽章 Andante ma moderato、変奏曲、ニ短調
第1ヴィオラから始まる力強くロマンティックな旋律は特に有名で、多くの人々に愛されています。変奏曲では、ロマンティックな旋律が堰を切ったかのように自由に展開されます。ルイ・マル監督の映画『恋人たち』で使用されたことでも知られています。
第3楽章 Scherzo. Allegro molto - Trio. Animato、ヘ長調
第4楽章 Rondo. Poco Allegretto e grazioso、変ロ長調

演奏時間

全曲の演奏時間はおよそ35分です。

編成

第1ヴァイオリン
第2ヴァイオリン
第1ヴィオラ
第2ヴィオラ
第1チェロ
第2チェロ

この楽曲は、ブラームスの室内楽作品の中でも特に人気が高く、現在も世界中で演奏され続けています。若きブラームスの情熱と才能が凝縮されたこの作品を、ぜひ一度お聴きください。

外部リンク

弦楽六重奏曲第1番の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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