張仙寿

張仙寿と渤海使

張仙寿（ちょう せんじゅ）の生没年は不詳ですが、彼は渤海国の重要な使者であり、第10次渤海使の大使として日本を訪れました。彼の名前は、歴史的文献『続日本紀』に記録が残されており、特に779年の出来事で際立っています。

渤海使の来日

宝亀9年（779年）9月、張仙寿は高麗の使者と共に日本に到着しました。このとき、彼らは越前国坂井郡の三国湊に到着し、天皇からの勅令を受けました。それは、越前に到着した遣高麗使と送使に対して、衣食を供給するようにとのものでした。特に、張仙寿が含まれる送高麗使は、連絡を早急に取るように命じられました。この文献における言及が、彼の名が初めて記録された瞬間でした。

朝賀と献上物

翌年の元日、張仙寿たちは天皇に謁見し、朝賀を行いました。この場面で彼の名前が文献に現れたのも非常に重要です。さらに5日には、さまざまな方物を献上しました。彼らは航路を誤り、遠方に漂着し、船が損傷したため、新しく二艘の船を造って随行したことを天皇に報告しました。彼の報告は、当時の日本と渤海の交流の一端を示しています。

宴と贈り物

7日には、五位以上の官人と共に朝堂で宴が催され、張仙寿たちもこれに招待されました。宴は詔によるもので、彼らは地位に応じた禄を与えられました。同じく16日にも、再び朝堂での踏歌の節会に参加し、贈り物を受け取っています。これらの宴は、渤海使の重要性と彼らに対する日本側の礼遇を示しています。

帰国の準備と信物

張仙寿たちは、この成功裏に渡日した滞在を経て、2月には帰国することとなります。天皇は国王に璽書を和して贈り、信物も授けました。これは、彼らが日本との国交を結ぶ上で重要な意味を持ったことでしょう。

なお、今回の渡航に際しては、大網公広道が送使として任命されていましたが、通常送高麗使は帰国用の船を持たない場合に派遣されるため、彼らが日本に無事に到着したことを受けて、任命が中止された可能性も考えられます。このように、張仙寿の訪問は、日本と渤海の関係において重要な歴史的役割を果たしました。

結論

張仙寿の訪日とその後の交流は、8世紀における日本の国際関係を理解する上で、重要な参考となる出来事です。彼の記録は、歴史の中で交わされた国際的な思いやりと外交のメッセージを今に伝えています。本稿を通じて、彼の功績を再考し、古代の国際関係の模様を明らかにすることができました。

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