張宗禹

張宗禹（ちょうそうう）は、清朝末期に起きた捻軍の反乱を率いた指導者の一人です。彼の生年は不明ですが、1868年頃に没したとされています。『清史稿』では「張総愚」という蔑称で記録されています。彼は、安徽省の出身で、当初は族叔父である張楽行が率いる捻軍の蜂起に参加しました。

捻軍は、清朝の支配に対する反乱軍であり、張宗禹は江蘇省、河南省、安徽省、湖北省といった広範な地域で転戦しました。その活躍から、太平天国から梁王の称号を与えられています。1863年に張楽行が清軍に殺害されると、張宗禹は残された勢力を引き継ぎ、指揮を執り続けました。

1864年からは、太平天国の遵王である頼文光と協力し、捻軍の再編に着手しました。彼らは騎兵を主体とした機動的な戦術を採用し、清軍を悩ませました。1865年には、高楼寨の戦いにおいて、清軍の精鋭部隊であるセンゲリンチン（僧格林沁）軍を壊滅させるという大戦果を挙げました。さらに、清朝の重鎮である曽国藩の包囲網をも突破するという、目覚ましい活躍を見せました。

1866年、張宗禹は西捻軍を率いて、河南省から陝西省へと進軍しました。この際、現地の回民蜂起軍と連携し、清朝に対する抵抗を強めました。1867年1月には、西安の灞橋において清軍を破るなど、その勢いは頂点に達しました。しかし、同年12月には、頼文光が率いる東捻軍を救援するため、山西省を経由して直隷省へ向かいました。

東捻軍が清軍によって壊滅したことを知ると、張宗禹は陝西省への帰還を試みましたが、清軍に阻止され、それは叶いませんでした。その後、直隷省、河南省、山東省の一帯で活動を続け、一時的に天津に迫る勢いを見せましたが、最終的には清軍の包囲に遭いました。各地を転戦した末、1868年8月に徒駭河のほとりに辿り着いたところで、彼の消息は途絶えました。追い詰められた末に投身自殺したとも伝えられていますが、その後の正確な足取りは不明のままです。

張宗禹は、清朝末期の動乱期において、捻軍の指導者として大きな影響力を持った人物でした。彼の指揮下で、捻軍は清朝を大いに苦しめ、当時の歴史に大きな足跡を残しました。

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