張昺 (成化進士)

張昺（ちょうへい、1443年 - 1520年）は、明代中期に活躍した官僚です。字は仲明、号は寓庵と称しました。寧波府慈渓県を本貫とする名家の出身で、祖父は都御史を務めた張楷です。

1472年（成化8年）に進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。最初に任じられたのは鉛山知県で、その職務において、張昺は厳正な性格と卓越した刑事裁判能力を発揮しました。不正を許さない厳格な姿勢は、周囲に大きな影響を与えました。

1482年（成化18年）には監察御史に昇進し、その後、南京御史に抜擢されました。この頃から、張昺は政治的な不正や腐敗と戦うようになります。

1488年（弘治元年）には、同僚の御史たちと共に、錦衣衛による拷問が言論の自由を侵害していると訴え、弘治帝に改善を求めました。また、孝陵の柏樹に落雷があったことを受け、大学士の劉吉ら10人以上の高官を弾劾しました。給事中の周紘も同様に劉吉を弾劾し、劉吉は彼らを憎むようになります。

その年の冬、張昺と周紘は弘治帝の命で軍の閲兵を行いましたが、多くの部隊で欠員が見つかりました。彼らは守備中官の蔣琮を弾劾しようとしましたが、蔣琮が先手を打ち、逆に二人を弾劾しました。蔣琮の上奏文が内閣に下されると、劉吉はこれを機に二人を地方に左遷しようとしました。しかし、尚書の王恕がこれに抗議し、多くの御史や給事中も二人の弁護に立ち上がりました。結果、1489年（弘治2年）に張昺は南京通政司経歴、周紘は南京光禄寺署丞に降格されることとなりました。

1494年（弘治7年）、張昺は四川按察僉事に転任します。四川では、富豪が殺人を犯し、賄賂で罪を逃れようとする事件を担当します。張昺は御史の命を受け、事件の真相を徹底的に解明し、不正を暴きました。その後、四川按察副使に進みました。

また、守備中官が術士の周慧を朝廷に推薦しようとした際、張昺は周慧を捕らえ、辺境への徙刑を宣告しました。

その後、病のため官を辞して帰郷し、経書や史書を読みながら隠居生活を送りました。都御史の王璟が彼を慰労しようと金銭を贈ろうとしましたが、張昺はこれを固辞しました。また、かつて張昺が鉛山知県時代に採用した丁洪が、食事を届けようとしましたが、これも拒否しました。

1520年（正徳15年）9月、張昺は生涯を閉じました。その著作には、『帰田稿』、『棟荘集』、『寓鳴集』、『経子訓戒』があります。

張昺は、その生涯を通じて、清廉潔白な官僚として、また、不正を許さない正義の人として、多くの人々に尊敬されました。彼の行動は、明代の官僚のあるべき姿を示すものとして、後世に語り継がれています。

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