張横 (水滸伝)

張 横（チョウ オウ）

概要

張 横は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する重要なキャラクターの一人であり、四大奇書の一つに数えられています。彼は梁山泊の水軍頭領であり、天竟星（または天平星）の生まれ変わりとして描かれています。彼の渾名は「船火児」で、これは船頭を意味します。年齢は不明ですが、弟である張順が32、3歳の時点で彼はそれよりも年上であることが確かです。外見は中背で、浅黒い肌と釣り上がった目、赤毛交じりの髭を持つ恐ろしげな容姿です。

生い立ちと経歴

張横は江州・小弧山に生まれ、弟の張順とともに江州の尋陽江に流れ着きました。彼らは追剥船頭としての生活を送りましたが、弟が真面目な職に就くと、張横は一人でその稼業を続けることになりました。

江州では、縄張りを接する穆弘たちとトラブルを起こし、2人の護送役人と流罪人を狙おうとしました。しかし、通りかかった李俊がその流罪人が天下の義人宋江であることを知らせたため、慌てて詫びることに。これがきっかけで、彼は宋江に弟への手紙を届けてもらうことになります。その後、宋江が謀反の罪で処刑されると耳にし、張横は李俊や穆弘と共に、宋江を救出するべく長江を下ることを決意しました。

江州に到着すると、すでに宋江は梁山泊の一団によって救出されており、彼らはその一行に合流する形で梁山泊に加わりました。

梁山泊での活躍

梁山泊に加わった後、張横は水軍頭領として数々の戦いに参加しました。特に、官軍の呼延灼との戦いでは、水軍頭領の一人として大きな成果を上げました。しかし、次第に個人の手柄が上げられないことに焦りを感じ、弟の張順の制止を無視して夜襲をかけ、返り討ちに合って捕虜となる失敗を犯します。

その後、百八星の集結後に再び水軍頭領に任命され、張順と共に西の水塞を守る任務に就くことになります。朝廷への帰順方針には反対の立場を取っており、さらには官軍との戦いで敵将を処刑するなど、強硬な姿勢を見せました。しかし、最終的には朝廷への帰順が決まると、彼はこれを受け入れることになります。

方臘討伐戦と悲劇

方臘討伐戦では、張横は阮小七と共に別働隊を率いて杭州の海路の封鎖を試みました。このとき、張順が方臘軍との戦いで討ち死にしてしまいます。弟の魂が張横に乗り移ったとの話が語られ、張横は気を失った返りに方天定の首を手にするという異例の状況に陥ります。最愛の弟の死を知った彼は、その悲しみのあまり、再び失神してしまいます。

その後、張横は杭州城に進駐するも、流行した疫病にかかって養生のためにその地に留まりますが、最終的には回復することなく命を落としました。彼の人生は、家族との絆や戦の厳しさ、そして悲劇によって彩られているのです。

まとめ

張 横の物語は、兄弟愛や反抗精神、そして忠義の物語として『水滸伝』の中で重要な位置を占めています。彼の波乱に満ちた人生は、読者に強い印象を与えることでしょう。

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