張瀾

張瀾（ちょうらん、1872年4月2日 - 1955年2月9日）は、中国の政治家、教育者であり、中国民主同盟の創設者の一人です。初代中華人民共和国副主席も務めました。字は表方（ひょうほう）といいます。

生涯

張瀾は、清朝末期の1872年に四川省で生まれました。父は学者であり、地元の学校で校長を務めていました。1903年に日本に留学し、弘文学院で学びましたが、1904年に政治的な発言が原因で帰国を余儀なくされました。帰国後も立憲運動に積極的に参加し、政治活動を始めます。

1911年には、四川省の道路保護運動に参加し、その後、川漢鉄道の株主会副会長に就任しました。1913年には中華民国国会議員に選出され、1915年には反袁世凱運動に参加するなど、政治活動を活発化させました。

1917年には、北京政府から四川省総督に任命されましたが、翌年には辞任し、北京に移り住みました。1919年には、新文化運動を支持し、四川省の学生の海外留学を支援しました。

1920年、張瀾は教育活動に専念するため、故郷の南充市に戻り、1925年には成都大学の学長に就任しました。学長時代には、思想と学問の自由を尊重し、中国共産党の社会科学研究社と国民党の健行社の共存を認めました。しかし、1930年に国民党の知的・学問的自由の抑圧に抗議し、学長を辞任しました。

1934年には、四川省政府の要請により、四川省平和化委員会の委員長に就任しました。長征中の中国共産党とも接触し、四川の地方勢力と共産党との間で対蒋介石の共同協定をまとめようとしました。

日中戦争が勃発すると、張瀾は国民政府参事官に任命され、抗日民主運動に参加しました。1939年には、黄炎培、章伯鈞らと共に「統一建国同志会」を設立し、抗日運動を組織しました。1941年には、中国民主政治連盟（CDPL）が設立され、張瀾は会長に就任しました。1944年には、CDPLは中国民主同盟（CDL）となり、張瀾は引き続き会長を務めました。

張瀾は、中国の民主化を訴え、国民党の一党独裁に反対しました。その主張は国民党政府によって厳しく弾圧されましたが、張瀾は屈することなく民主主義を求め続けました。延安の『解放日報』は、彼の民主化を求める姿勢を大きく報道しました。

日中戦争終結後、張瀾はCDLを代表して政治協商会議に出席し、共産党との合意を支持しました。しかし、国民党政府は憲法制定国民会議を一方的に開催し、CDLは非合法組織とされました。1948年初頭には、CDLの本部を香港に移転し、共産党との協力を強化しました。

1949年春、国民党政府は張瀾を上海で軟禁しましたが、中国共産党の地下組織によって救出されました。同年6月には北京に到着し、9月には中国人民政治協商会議に出席、中央人民政府副主席に選出されました。また、政協全国委員会の常務委員にも選出されています。1954年には、全国人民代表大会常務委員会の副主席に選ばれました。張瀾は、中華人民共和国の建国に大きく貢献しました。

1955年2月9日、張瀾は北京で83歳で亡くなりました。彼の遺体は、北京八宝山の革命墓地に埋葬されました。

人物

張瀾は、その生涯を通じて民主主義を追求し、権力に屈することなく、自らの信念を貫き通しました。教育者としても優れた才能を発揮し、多くの人材を育てました。彼の思想は、中国の民主化運動に大きな影響を与えました。

家族

息子: 張喬嗇（ちょうきょうしょく）
孫娘: 張梅穎（ちょうばいえい、中国人民政治協商会議全国委員会副主席）

著書

《墨子贵义》（墨子の貴義）
《说仁·说义》（仁と義について）
《四勉·一戒》（四つの勉励と一つの戒め）
《中国需要真正民主政治》（中国は真の民主政治を必要とする）
《论五常》（五常について）
《张澜诗集》（張瀾詩集）

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