張臣

張臣（ちょう しん）

張臣は、明代に活躍した武将であり、その生涯は戦いの連続でした。出自は楡林衛で、生没年は不明です。

生涯

兵士としてキャリアをスタートさせた張臣は、その卓越した能力で隊長にまで昇進しました。彼は敏捷で勇敢であり、危険な戦いを好んで数々の堅陣を攻略しました。黄甫川を守備する千総・劉朋の配下となり、劉朋が敵に包囲された際には、単騎で敵陣に突入し、敵の首領を射倒して劉朋を救出しました。この功績により、その名は広く知られるようになりました。

その後、劉朋の後任として千総となった張臣は、跨馬梁、李家溝、高家堡、田家梁、西紅山などで転戦し、いずれの戦いでも目覚ましい成果を上げました。宣府の膳房堡の守備に異動すると、敵の侵入に際し、部下を鼓舞して大騒ぎを演じ、敵を混乱させて包囲を突破し、無事に帰還しました。その後、延綏衛に転じ、游撃将軍に抜擢されました。

1567年、チャハルのトゥメン・ジャサクト・ハーンが明に侵入した際、他の将軍たちが戦いを避ける中、張臣は単独で兵を率いて灤河へ向かいました。遼東総兵の王治道に諫められるも、張臣はそれを聞き入れず、敵を棒槌崖まで追撃し、110人以上の敵を討ち取る大戦果を挙げました。この功績により、張臣は二級の加増を受け、参将に昇進しました。後に副総兵に昇進し、薊州鎮西協を守備しました。

万暦初年には、都督僉事の代行に昇進。1576年、炒蛮が古北口に侵入した際には、救援に駆けつけて敵を退却させましたが、罪に問われて一級降格となりました。しかし、1577年には寧夏の総兵官として守備を任されました。アルタン・ハーンが賀蘭山へ向かおうとした際には、これを許さず、夜間に漢渠と唐渠の水を決壊させて道を塞ぎ、アルタンを撤退させました。3年間、辺境は平穏を保ちましたが、後に弾劾を受け罷免されました。

1583年、小阿卜戸が黒峪関を侵犯した際、張臣は副総兵として再び起用され、馬蘭峪を守備しました。朶顔衛の長昂が辺境を騒がせた際には、楊四畏に代わって薊州鎮総兵官となり、長昂を降伏させました。また、猛可真の策略を見抜き、明の捕虜を奪還することに成功しました。その後、都督同知の代行に昇進し、陝西総兵官として固原を守備しました。

1590年、甘粛総兵官に転じた張臣は、青海部長の火落赤が侵入した際、水泉三道溝で迎え撃ち、敵を撃退しました。自らも負傷しましたが、ボショクト・ジノンの娘を捕虜にするなど、大きな戦果を挙げました。後に、ボショクト・ジノンが謝罪し、娘を返還しました。

この頃、張臣は経略の鄭洛を頼りにならないと判断し、八難・五要を陳述した上奏文を提出しました。長年の戦いで負った傷が悪化し、帰郷を願い出ましたが許されず、2年後に病のため官を辞しました。

張臣の生涯は、常に戦場に身を置き、卓越した武勇と知略で数々の功績を上げた、まさに武将と呼ぶにふさわしいものでした。

参考文献

* 『明史』巻239 列伝第127

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