強敵あらわる

トムとジェリー：強敵あらわる

1948年公開の『強敵あらわる』(Old Rockin' Chair Tom)は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督による人気アニメシリーズ『トムとジェリー』の一編です。本作品では、いつものようにジェリーを捕まえられないトムがお手伝いさんに「もう年だから引退」と判断され、新しい猫が迎え入れられます。

その新入り猫の名はライトニング。その名の通り、驚異的な速さでジェリーを捕まえ、家から追い出してしまいます。お手伝いさんにはおとなしく振る舞うライトニングですが、裏では冷蔵庫を荒らすなど、悪賢い一面も持ち合わせています。さらに、冷蔵庫を荒らした濡れ衣をトムに着せ、トムまで家から追い出してしまいます。

こうして家を追われたトムとジェリーは、居場所を取り戻すため、共闘を決意。熟睡するライトニングに忍び寄り、磁石を使って口からアイロンを挿入するという大胆な作戦を実行します。

目覚めたライトニングはジェリーを追いかけますが、トムが操る磁石によって身動きが取れず、翻弄されます。このドタバタ劇の最中、お手伝いさんが物音で目を覚まし、ジェリーにいたずらされてしまいます。ライトニングは助けに向かいますが、体内に挿入されたアイロンが磁石に吸着し、身動きが取れなくなります。

ライトニングの遅延に業を煮やしたお手伝いさんは、トムに助けを求めます。トムはジェリーを捕まえ、お手伝いさんを喜ばせる芝居をします。しかし、この行動が皮肉にもライトニングを追い出すきっかけとなります。トムはライトニングに復讐を果たすかのように、勢いよく蹴飛ばして家から追い出します。この際、トムはライトニングの尻に入っていたアイロンで足を怪我してしまいます。

その後、お手伝いさんはトムにこれまでのことを詫び、カスタードパイをプレゼント。トムはジェリーと仲良くパイを分け合って、物語は幕を閉じます。

登場キャラクター

トム: 老齢を理由に家から追い出されますが、ジェリーと協力してライトニングを追い出し、元の生活を取り戻します。最後は、お手伝いさんのお詫びとしてカスタードパイをジェリーと分け合います。
ジェリー: トムと協力してライトニングを追い出す作戦に加わり、お手伝いさんに対していたずらを仕掛け、トムに捕まる芝居をします。
お手伝いさん: トムの老いを理由にライトニングを迎え入れ、ライトニングの悪事を知らぬまま、トムとジェリーに翻弄されます。最後はトムに詫び、カスタードパイを贈ります。
ライトニング (稲妻ジョー): トムの後継として迎えられた敏捷な猫。ジェリーを素早く追い出し、お手伝いさんには好印象を与えますが、隠れて冷蔵庫を荒らしたり、トムに濡れ衣を着せたりと、悪賢い性格が描かれています。トムとジェリーの策略によって、最後は家から追い出されます。

米国での問題シーン

作品冒頭、トムがライトニングから付け髭をつけられ老人になったシーンでは、英語版で「take good care of poor old Uncle Tom.」というセリフが使用されていました。これは、黒人差別を描いた小説『アンクル・トムの小屋』を想起させるため、アメリカのカートゥーンネットワークやブーメランでの放送時にはセリフが変更、または削除されました。

関連作品

本作と同様に、トムとジェリーが利害の一致により協力する様子が描かれた作品として、『共同作戦』や『可愛い子猫と思ったら』などが挙げられます。

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