弾幕系シューティング

弾幕系シューティングとは

弾幕系シューティングは、2Dスクロールシューティングゲームの一種で、画面を埋め尽くすほどの大量の弾を、自機の小さな当たり判定を駆使して回避するゲームです。このジャンルは、大量の弾が飛び交う様子を「幕」に例えて「弾幕」と呼ばれ、欧米では「Bullet Hell」や「Manic Shooter」などと表現されます。

弾幕系シューティングの特徴

弾幕系シューティングの最大の特徴は、その名の通り画面を覆い尽くすほどの弾幕です。この大量の弾は、ただ単に難易度を上げるだけでなく、プレイヤーに「避ける」という行為の爽快感を提供します。

- 弾幕の発生: 敵の攻撃が画面を覆い尽くすほど大量に出現する状態を指します。大量の弾が飛び交う様子が「幕」のように見えることから、この名が付けられました。
- 避けやすさ: 敵弾は従来のシューティングゲームよりも遅いことが多く、大量の弾が一定のアルゴリズムに従って射出されるため、幾何学模様を形成することがあります。また、自機の当たり判定は見た目よりも小さく、精密な動作を可能にするために移動スピードが低下する機構が備わっていることがあります。
- 弾幕の進化: 1997年の『怒首領蜂』が、初めて「弾幕」をシステムとして取り入れたゲームとされています。それ以前は、ハードウェアやソフトウェアの処理能力の制約から、大量の弾を表現することが難しかったですが、近年のCG処理能力の向上により、より滑らかで高速な弾幕表現が可能になりました。

弾幕系シューティングは、シューティングゲームの二つの柱である「撃つ」と「避ける」のうち、「避ける」ことに重点を置いています。そのため、大量の弾をいかに回避するかが、ゲーム攻略の鍵となります。

弾幕系シューティングの分類

弾幕系シューティングは、広義には敵弾が大量に発射されるシューティングゲームを指しますが、狭義には敵弾が多いだけの高難度ゲームは含まれません。狭義の弾幕系シューティングは、以下の特徴を持ちます。

- 敵弾のスピードが従来のシューティングゲームより遅い
- 幾何学模様を形成する弾幕
- 見た目よりも小さい敵弾の攻撃判定や自機の当たり判定
- 精密な回避を可能にする自機の移動速度低下機構

これらの要素を全て備えているのが、『怒首領蜂』であり、これ以降、多くの模倣作品が登場し、2000年頃に「弾幕系シューティング」という表現形態が定着しました。

また、ほとんどの弾幕系シューティングゲームは縦スクロールですが、横スクロールの作品も少数存在します。これは、人間の目の構造上、左右のラインを合わせるよりも、上下のラインを合わせる方が難しいため、弾幕を回避するのに適しているからです。

主な弾幕系シューティング作品

以下に、代表的な弾幕系シューティング作品をいくつか紹介します。

- 『怒首領蜂』シリーズ (ケイブ): 弾幕系シューティングの元祖であり、同ジャンルのパイオニア的存在です。
- 『式神の城』シリーズ (アルファ・システム): 弾幕に近づくことでスコア倍率が上昇するシステムが特徴です。
- 『東方Project』 (上海アリス幻樂団): 同人ゲームとして人気を博し、難易度設定が幅広く、初心者でもプレイしやすい作品です。

また、これらの作品とは異なるゲーム性を持つ弾幕系シューティングも存在します。

- 『ギガウイング』シリーズ (匠): 弾幕を避けるだけでなく、弾幕を対処するシステムが組み込まれています。
- 『サイヴァリア』シリーズ (サクセス): 敵弾に触れることで自機がパワーアップするシステムが特徴です。

弾幕系シューティングに近接する作品

弾幕系シューティングの要素を部分的に持つ作品も多く存在します。これらの作品は、弾幕系シューティングの亜種と捉えることができます。

- 『バツグン』: 『怒首領蜂』のルーツとも言える作品で、後の弾幕系シューティングの萌芽を感じさせます。
- 『バトルガレッガ』: 圧倒的な弾量で『怒首領蜂』の制作に影響を与えたとされる作品です。
- 彩京のシューティング作品群: 高速弾幕で知られる彩京の作品群の中にも、弾幕系シューティングの要素を取り入れたものがあります。
- 『斑鳩』: 弾幕系シューティングに近い要素を持ちますが、精密な攻撃とパターン化が主軸となる作品です。

敵弾の意味合いの変化

弾幕系シューティングは、単に弾を避けるだけでなく、敵弾を有効活用するアイデアを取り入れています。これにより、プレイヤーは敵弾を避けるだけでなく、積極的に利用することでゲームを有利に進めることができるようになりました。

スコアと弾幕

弾幕を回避するだけでなく、画面上の敵弾にアクションを起こすことで得点アイテム化したり、得点源となるケースが多くあります。これにより、危険行為を伴うことでより高い得点を目指せるようになりました。

- 敵弾の得点アイテム化: 特定の敵を倒すと、画面内の弾が得点アイテムに変換されることがあります。
- 敵弾の利用: 敵弾に自機を近づけることで得点が加算されるシステムや、敵弾を吸収してパワーアップするシステムもあります。

敵弾の逆利用

敵弾にわざと当たったり、かすったりすることで、リターンを得られるシステムが登場しています。

- 敵弾の吸収: 敵弾を吸収してエネルギーに変えたり、攻撃に利用したりすることができます。
- 敵弾の防御: 敵弾を跳ね返したり、防いだりすることで、プレイヤーを優位にすることができます。

世界一弾幕シューティングを作って販売した会社

株式会社ケイブは、1995年以降、16年間で48タイトルのシューティングゲームを制作し、「世界一弾幕シューティングを作って販売した会社」として、「ギネス世界記録」に認定されています。

弾幕系シューティングは、その複雑なシステムと美しい弾幕によって、多くのプレイヤーを魅了し続けています。今後も新しいアイデアやゲームシステムが導入され、さらなる進化が期待されるジャンルです。

参考資料

- wikipedia