弾性反発説

弾性反発説とは

弾性反発説は、地震の原因を説明するメカニズムの一つであり、現代地震学において、断層地震説やプレートテクトニクスと関連付けられ、広く支持されている学説です。

この説の初期の提唱者として知られるのが、1906年のサンフランシスコ地震の研究に基づいて発表したリード(H.F.Reid)です。リードは、地震は地下の岩盤に蓄積された歪みが限界に達し、破壊が起こることで発生すると考えました。具体的には、震源の両側で逆向きの力が働き、岩盤が弾性変形によって曲がり、限界を超えると剪断破壊を起こして地震が発生するというものです。この過程は、物質が力を受けて変形する際の、弾性変形から塑性変形、そして破壊という力学的な段階に対応しています。

弾性反発説は、発表当時は他の説と並立していましたが、その後の研究によって次第に支持を集めるようになりました。特に、地震波の初動分布を説明できる点が大きな強みとなりました。地震波の初動分布は、震源を中心とした四つの領域において、押しと引きの波が交互に現れますが、これは断層の破壊によって説明できます。

弾性反発説の発展

断層面における力の働き方についても研究が進みました。当初は、断層面には一対の偶力（シングルカップル）が働くと考えられていましたが、実際には2対の偶力（ダブルカップル）が働いていることがわかってきました。このダブルカップルの考え方は、日本では当初から支持されていましたが、欧米ではシングルカップルが一般的でした。しかし、1963年に丸山卓男がダブルカップルの妥当性を物理学的に証明する考え方を提示し、1960年代には欧米でもダブルカップルが定着しました。

日本においても、大正時代頃から弾性反発説に基づいた研究が進められてきました。1960年代には、プレートテクトニクス理論が発展し、海溝型地震の発生メカニズムを説明する上でも、弾性反発説が重要な役割を果たすようになりました。プレートの沈み込みによって蓄積された歪みが解放されることで、巨大地震が発生するというメカニズムを説明する上で、弾性反発説は不可欠な理論となっています。

まとめ

弾性反発説は、地震発生のメカニズムを理解する上で非常に重要な学説です。この説は、地震が地下の岩盤に蓄積された歪みが解放されることで発生すると考え、地震波の初動分布や断層運動の解明に大きく貢献しました。現在では、プレートテクトニクス理論と組み合わされ、地震発生のメカニズムをより深く理解するための基礎となっています。

参考文献

第二部-2-地球の科学 第1章地震 4.地震とは何か 山賀進
安藤（1996）による〔『地震と火山』（2-4p）から〕 福岡正人、「地球資源論研究室」

関連事項

断層地震説
岩漿貫入

もう一度検索