形原城

形原城（かたはらじょう）

形原城は、愛知県蒲郡市形原町に位置する歴史的な城で、日本の城の一つとして知られています。別名「稲生城」や「海岩城」とも呼ばれ、江戸時代の初期には形原藩が設置されていました。この城の場所は、三河湾沿いの小高い段丘の上に立地しています。かつては三方を海に囲まれた天然の要害であり、現在でもその名残を見ることができます。

概要

形原城は、松平家の居城として知られています。平山城としての特徴があり、周囲には海水が迫っていました。そのため、敵の侵入を防ぐための自然の防衛線として機能していたのです。形原城は地理的に重要な位置にあり、当時の戦略的要所であったことがうかがえます。この城は蒲郡市に指定された史跡であり、歴史愛好家や観光客にとって興味深いスポットとなっています。

歴史的背景

形原城の築城に関する伝説もあり、一部では平安時代後期に方原師光によるものとされていますが、具体的な裏付けはありません。現在の城の遺構は、1487年から1489年の長享年間に松平家の第3代当主である信光の四男、与副によって築かれたとされています。

与副の子孫はその後、750貫の領地を持ち、形原松平家として名を馳せました。しかし、16世紀中頃には松平家の宗家である安祥松平氏から独立し、東から攻めてきた今川氏に従属する形となりました。永禄3年（1560年）には今川義元が桶狭間で敗死し、その結果、岡崎の松平宗家に多くの豪族が寝返りました。この時、形原の城主であった家広も松平宗家への鞍替えを決意しましたが、これに怒った今川氏の当主は家広の妻子を人質として稲生の浜で処刑するという残酷な事件が起こりました。

その後、形原松平氏は徳川家康の重臣である石川数正に嫁ぐなどして地位を保持します。天正18年（1590年）には、城主松平家信が家康の関東移封に従って形原を去ることになりました。関東での生活の後、信は1601年に形原に戻りますが、その後の世代で形原城は再び廃城となります。元和4年（1618年）には家信が大名に列し、1万石を与えられ形原藩が設置されました。しかし、元和5年（1619年）に家信は再度移封されることになり、残念ながら形原城はその役割を終えることとなったのです。

現在の状況

現在の形原城跡は、宅地化が進んだため城の痕跡はほとんど失われていますが、一の曲輪や二の曲輪の跡がわずかに残っています。また、かつて存在した大規模な曲輪については、地名「北古城」「南古城」にその名残が見られると考えられています。1971年に形原城跡として市指定史跡となり、これまでにも数回発掘調査が行われています。

アクセス

形原城跡へのアクセスは、名鉄蒲郡線の形原駅から徒歩約10分の距離にあり、または同線の西浦駅から東へも徒歩約10分ほどで到着します。城跡の訪問は、歴史を感じる貴重な体験となるでしょう。

もう一度検索