彦狭知命

彦狭知命（ひこさちのみこと/ひこさしりのみこと）

彦狭知命は、日本神話に登場する神であり、『日本書紀』では彦狭知神とも表記されます。神名の解釈については、ヒコを「すぐれた男子」、サチを「鉄の矢」とする説があります。この神は、父である手置帆負神と共に、神々のために様々な道具や建物を製作したと伝えられています。

『日本書紀』における記述

『日本書紀』巻第二の神代下第九段の第二の一書において、彦狭知命は父の手置帆負神とともに登場し、作盾者（たてぬい）として記述されています。この記述から、彦狭知命が盾の製作に携わっていたことがわかります。

『古語拾遺』における記述

『古語拾遺』の神代段にも、彦狭知命は父と共に登場します。ここでは、天御量を使って大小の峡谷の木を伐採し、瑞殿を造営したとされています。また、御笠・矛・盾を制作したとも記されており、多岐にわたる製作活動を行っていたことが伺えます。さらに、『古語拾遺』の神武天皇段では、再び父と共に登場し、太玉命の孫である天富命に率いられ、山から木を伐採して神武天皇の正殿を造営したとされています。

『先代旧事本紀』における記述

『先代旧事本紀』の「天皇本紀」においても、『古語拾遺』と同様の内容が伝えられており、彦狭知命が父と共に宮殿の造営に尽力したことがわかります。

子孫について

彦狭知命の子孫は、紀伊国名草郡の御木・麁香二郷にいたとされています。この記述から、彦狭知命の血筋を引く人々が、特定の地域で生活していたことがわかります。

彦狭知命の役割

これらの記述から、彦狭知命は神々や天皇のために、様々な道具や建物を製作する重要な役割を担っていたことがわかります。特に、盾の製作や宮殿の造営に貢献したことが強調されており、その技術力や働きぶりは高く評価されていたと考えられます。