彦陽郡

彦陽郡について

彦陽郡（オニャンぐん、げんようぐん）は、李氏朝鮮時代に存在した行政区画であり、現在の蔚山広域市の西部に位置していました。この郡の歴史は長く、地名の変遷や行政区画の変化など多くの興味深い側面があります。

地名の由来

彦陽という地名の元々の呼び名は居知火県でした。居知火という名称は古代の音を基にしており、特に「居」は首長の尊称を示し、「知」は族長の名前を指しているとされています。このため、居知火は城邑国家時代において軍の指揮官が治めていた地域であることが考えられるのでしょう。

757年には、全国的に地名を漢字化する改革が行われ、居知火県は高巘山の陽達鎮と関連づけられ「巘陽」と改称されました。この「巘」の音読みは「アン」であったため、早くもこの時期から巘陽と称されていた可能性があります。さらに高麗時代には現在の「彦陽」に名を改めました。

当時の居知火県は現在の上北面吉川里知火村にあたります。

歴史的経緯

彦陽郡は、辰韓12国の一つである己柢国に属しており、三国時代には居知火県と呼ばれていました。その後の753年には巘陽県に改称され、良州の領県として位置付けられ、県地も現在の彦陽邑内に移転されました。

1018年には蔚山広域市の属県となり、さらには1143年に州県に昇格し彦陽県となりました。この際に、慶州から編入された南山部地域が追加され、1419年にはその一部が慶州府に返還されました。

1599年に文禄・慶長の役の影響で彦陽県は廃止され、蔚山都護府に組み込まれましたが、1612年には復活を果たしました。以後、彦陽県は地域を分けて3面（県内面、北面、南面）を設け、やがて上北面、中北面、下北面、上南面、中南面、三同面の6面に再編しました。その正確な改編時期は不明ですが、正祖の記録にはこの6面についての記載があります。

1895年には二十三府制が施行され、東萊府彦陽郡となり、1896年には十三道制が導入され慶尚南道彦陽郡となりました。1914年3月1日には彦陽郡が蔚山郡に編入され、正式に廃止されました。

その後、1914年4月1日に上北面と中北面が一つに合併し彦陽面として発足し、1926年には上南面と下北面が統合されて上北面が設置されました。1933年に三同面と中南面も合併し三南面が発足します。

1971年には三南面の旧三同面地域に三同出張所が設立され、その後の1973年には九秀里が彦陽面に編入され、1989年には三同出張所が復活し三同面に昇格しました。1996年には彦陽面が彦陽邑に昇格し、2020年には三南面が三南邑に昇格するなど、彦陽郡域は現在の彦陽邑、上北面、三南邑、三同面の形になりました。

行政区域

現在の行政区域は、上北面、中北面、下北面、上南面、中南面、三同面に分かれています。各面には多くの洞が設置されており、地域の特性に合わせて行政が行われています。

このように彦陽郡は歴史を紐解くと、様々な地名や組織の変遷を経ており、地元の文化や歴史的背景に大きな影響を与えてきました。

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