彩脳

TK from 凛として時雨『彩脳』

『彩脳』（さいのう）は、ロックバンド・凛として時雨のギター・ボーカルであるTKが、TK from 凛として時雨名義で2020年4月15日にリリースした4枚目のスタジオ・アルバムです。

概要

前作から約3年半ぶりとなる本作は、様々な分野の才能あるアーティストとの共演を軸に、作詞、演奏、アレンジなど、創造性豊かな作品となっています。アルバムタイトルにふさわしく、多彩な才能（彩脳）が集結した一枚と言えるでしょう。

CDジャケットは、2014年のアニメ『東京喰種トーキョーグール』オープニングテーマ「unravel」以来、親交のある漫画家・石田スイがTKの肖像画を描き下ろしました。

収録曲には、石田スイが作詞を手掛けた「彩脳 -Sui Side-」、又吉直樹が作詞監修を務めた「copy light」、ゲスの極み乙女。のキーボーディスト・ちゃんMARIとTKの共作「インフェクション」、ヨルシカのsuisをゲストボーカルに迎えた「melt」、Salyuを迎えた「moving on」などが収録されています。さらに、世武裕子、Tomi Yo、河野圭らも参加しています。

テーマ曲シングルである「katharsis」、「P.S. RED I」、「蝶の飛ぶ水槽」、配信シングル「melt」は、「sainou mix」として新たにミックスされています。

2020年3月11日にはアルバムの収録内容と詳細情報が発表され、3月30日には写真家・岡田貴之による新たなアーティスト写真が公開されました。4月1日にはアルバム収録曲「凡脳」が各音楽配信サイトにて先行配信され、iTunes Storeではプリオーダーが開始。抽選特典としてTK描き下ろしの「凡人ステッカー」プレゼント企画や、各CDショップでの先着特典も発表されました。5月22日には、YouTubeにてアルバム制作に密着したドキュメンタリー映像がストリーミング配信され、TK自身がアルバムへの思いや制作秘話を語るほか、レコーディングに参加したミュージシャンやエンジニアのインタビューを通してTKの本質に迫る内容となっています。

リリース

通常盤と初回生産限定盤の2形態で発売。初回生産限定盤には、2019年12月にBunkamuraオーチャードホールで行われたプレミアム・アコースティックライブ「Bi-Phase Brain “R side”」の音源を収録したCDが付属しています。iTunesの総合アルバムランキングでは1位を獲得し、各ストアでも上位にランクインしました。

制作

アルバム制作は、当初から「コラボレーションを軸とした作品」という明確なコンセプトがあったわけではなく、「今、ここに一緒にセッションできるプレイヤーがいたら」「自分の脳では描けない角度から、僕の音や言葉を見てほしい」といった、様々な偶然が重なった結果でした。TK自身は、本作について「他者を介在させることによって、自分自身の濃度を高め、壊して、再構築するような作品」と語っています。

タイトル「彩脳」には、「多彩な才能」と「自分には才能がない」という二つの意味が込められています。「sainou mix」については、「いつも聴いてくれている人が気付いてくれるような仕掛けとして楽しんでもらいたい」という思いから、アルバムとして新たなイメージで聴けるように、TK自身が好きな音を意識して制作されました。

楽曲解説

彩脳 -Sui Side-: アルバムのオープニングを飾るタイトル曲。2018年のアニメ『東京喰種トーキョーグール：re』のオープニングテーマ候補だった楽曲に、3度目のコラボレーションとなる石田スイが作詞を手掛けました。レコーディングには、Cö shu Nieの中村未来（ピアノ）、キタニタツヤ（ベース）らが参加しています。2020年4月22日には、TKが作詞した別バージョン「彩脳 -TK Side-」がデジタルリリースされました。

インフェクション: TKがちゃんMARIに「何か好きなフレーズを送ってみて」と依頼したことがきっかけで制作されました。ちゃんMARIから送られてきたボイスメモをTKが膨らませたもので、TKにはないコード感が楽曲の基盤となっています。

鶴の仕返し: 鶴田さくらとの共同制作。トラックメーカーである鶴田さくらの目の前でパッドなどを接続し、その場で0から作り上げられました。エレクトリックなトラックを、TKのこだわりで人力のものに差し替え、河野圭のストリングスアレンジと歌詞が加わっています。

melt: プログラミング主体で制作されました。「ツアーに向けて新曲を出したい」というTKの提案から始まったものの、予算の都合でドラムの生音を収録できず、全て打ち込みで制作されました。TKは、打ち込みのコントロールのしやすさと同時に、細かな判断の積み重ねがクオリティを大きく左右すると感じたと語っています。

reframe: Tomi Yoとの共同制作。以前から親交のあったTomi Yoに、弾き語りのデモを渡して自由にアレンジしてもらった楽曲です。制作中にTomi Yoのアレンジを壊しつつ、再度アレンジを戻すなど、試行錯誤を重ねています。

copy light: リリースの3年ほど前からライブで披露されてきた楽曲。「人の愛し方を歌だけで伝えないで」というフレーズから始まるバラードです。歌詞について、TKは「自分が一度完結させた物語を独自の視点で読み取れる人に見てもらいたい」という思いから、又吉直樹に歌詞の監修を依頼。又吉からのアドバイスは、TKにとって大きな自信に繋がったと語っています。2020年4月8日に先行配信され、ミュージックビデオには又吉直樹も出演しています。

TK from 凛として時雨 彩脳 TOUR 2020

2020年4月22日の恵比寿リキッドルームを皮切りに開催された全11公演のツアーでしたが、新型コロナウイルスの影響で全公演が延期となりました。

2020年8月8日には、配信ライブ『Studio Live for “SAINOU”』が開催されました。

同年9月4日からは、全国の映画館で『TK from 凛として時雨 Studio Live for “SAINOU” ～Film Gig Emotion～』が公開され、TK自身が企画したもので、初のサラウンドミックスが施されました。

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