彰徳府

彰徳府（しょうとくふ）

彰徳府は、中国史において金代から民国初頭にかけて存在した行政区画です。現在の河南省安陽市一帯に位置し、その歴史の中で変遷を遂げました。

金代

1192年（金朝の明昌3年）、相州が彰徳府に昇格したことで、その歴史が始まりました。この時、彰徳府は河北西路に属し、以下の5県と5鎮を管轄しました。

県: 安陽県、湯陰県、臨漳県、林慮県、輔巌県
鎮: 天禧鎮、永和鎮、豊楽鎮、鶴壁鎮、鄴鎮

金代の彰徳府は、現在の安陽市を中心とした地域において、重要な役割を担っていたことがわかります。

元代

1265年（元朝の至元2年）、モンゴル帝国によって彰徳府は彰徳路総管府と改められました。元代には、中書省に属し、以下を管轄しました。

司: 録事司
州: 林州
県: 安陽県、臨漳県、湯陰県

この時期、行政区画の名称と管轄範囲に変化が見られました。しかし、引き続き地域の中心としての地位を維持していたと言えるでしょう。

明代

明代になると、彰徳府は河南省に属しました。管轄地域は以下の通りです。

直属県: 安陽県、臨漳県、湯陰県、林県
磁州所属県: 武安県、渉県

明代には、直属県に加えて、磁州に所属する県も管轄下に置かれるようになり、より広範囲を統括する行政区画となったことがわかります。

清代

清代においても、彰徳府は河南省に属し、以下の7県を管轄しました。

安陽県
臨漳県
湯陰県
林県
武安県
渉県
内黄県

清代には内黄県が新たに加わり、管轄範囲がさらに広がりました。この時期の彰徳府は、地域の行政・経済の中心としての役割を果たしていたと考えられます。

民国時代

1913年、中華民国が成立すると、彰徳府は廃止されました。これにより、彰徳府としての歴史は幕を閉じました。

まとめ

彰徳府は、金代から民国初頭にかけて、約700年以上にわたり、現在の河南省安陽市一帯に存在した行政区画です。時代によって名称や管轄範囲は変化しましたが、常に地域の中心的な役割を果たしていました。その変遷は、中国の地方行政制度の歴史を理解する上で重要な事例の一つと言えるでしょう。

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