彼らの海

『彼らの海』は、1999年から2008年までテレビ熊本と電通が制作した、海をテーマにしたドキュメンタリー番組とテレビドラマシリーズです。全10作からなり、当初はドキュメンタリー番組としてスタートしましたが、途中からテレビドラマへとシフトし、最終的には再びドキュメンタリーへと回帰するという、ユニークな展開を見せました。

初期のドキュメンタリー作品では、著名なライフガードやサーファー、俳優たちが登場し、海と深く関わる中で自分自身と向き合う様子が描かれました。例えば、第1弾『彼らの海 〜ウォーターマンに憧れて〜』では、日本のライフガード鯨井保年さんがハワイのマカハのライフガードたちと交流し、「ウォーターマンとは何か」を問いかける内容でした。深夜番組にも関わらず、その斬新な企画内容は大きな話題を呼びました。

続く第2弾『彼らの海II 金子賢と中村竜のハワイアンサーフィン』では、俳優の金子賢さんと中村竜さんが、ハワイのレジェンドサーファーたちと交流し、海や仕事との関係について見つめ直す様子が描かれています。この作品では、マウイ島のジョーズの波が初めてテレビで紹介されたことでも知られています。

第3弾『彼らの海III 伝説のサーファー“ジェリーロペス”とサーフィンの旅』では、俳優の坂口憲二さんが伝説のサーファー、ジェリー・ロペスさんと共にマウイ島のホウキパでサーフィンをする様子が映し出されました。普段はウインドサーフィンのメッカとして知られるこのポイントで、早朝にサーフィンを楽しむ様子は、多くの視聴者を魅了しました。

第4弾『彼らの海IV 坂口憲二と仲間達 SURF TRIP in TANEGASHIMA』は、湾岸戦争の影響で海外ロケが急遽国内に変更された作品です。坂口憲二さんはTBSドラマ『池袋ウエストゲートパーク』の撮影直後に出演、役柄そのままの茶髪姿で登場しました。サーフィンカメラマンの横山泰介さんも参加し、仲間とのサーフトリップの楽しさがリアルに描かれています。

第5弾『彼らの海V 吉沢悠 7days in Hawaii』、第6弾『彼らの海VI SHIHOと彼女たちの海』と続き、女性をフィーチャーした作品も制作されました。SHIHOさんがハワイで海と共に生きる女性たちを訪ね歩く様子は、新しい視点を取り入れた作品となりました。

第7弾『彼らの海VII Wish On The Polestar』からは、番組内容はテレビドラマへとリニューアルされました。サーフィンを題材にした高校生の恋愛模様を描いた青春ドラマは、DVD化もされる人気作品となりました。

第8弾『彼らの海VIII Sentimental Journey』では、音楽グループAAAのメンバーを主演に迎えた青春ストーリーが展開されました。

第9弾『彼らの海IX はじまりの朝』も青春ドラマとして制作され、自転車の旅をする中高生の男女の物語が描かれました。

そして、最終作となる第10弾『彼らの海X endless love, endless journey』では再びドキュメンタリーへと回帰。ハワイ在住のサーファー、ベサニー・ハミルトンやトニー・モニーツへのインタビューを通して、海と人生について深く考えさせられる内容となりました。

『彼らの海』シリーズは、海をテーマにしながらも、人間ドラマや青春、そして自然との関わりを多角的に描いた作品群です。各作品には豪華なキャストとスタッフが参加し、それぞれの個性と魅力が詰まった、記憶に残る番組となりました。2009年以降は新たな企画が制作され、『彼らの海』シリーズは終了していますが、その影響は現在も色濃く残っています。

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