待賢門院堀河

待賢門院堀河：平安時代後期の歌人とその生涯

待賢門院堀河（たいけんもんいんのほりかわ）は、平安時代後期を代表する歌人の一人です。生没年不詳ですが、女房三十六歌仙、中古六歌仙にも数えられています。彼女の人生は、歌の才能のみならず、数々の出来事や人間関係によって彩られています。

華麗なる宮廷生活と出家

堀河は、はじめ六条と称され、白河院皇女で斎院を退いた二条大宮令子内親王に仕えていました。その後、鳥羽天皇の中宮・待賢門院藤原璋子に仕えるようになり、堀河と呼ばれるようになりました。

康治元年（1142年）、主君である璋子の落飾に際し、堀河は同僚の待賢門院中納言と共に、出家しています。宮廷という華やかな世界から身を引いた彼女の決断は、彼女の人生における転換点となりました。

複雑な人間関係と恋愛

堀河は、少なくとも一度は結婚し、夫との間には子供もいました。しかしながら、夫は亡くなり、堀河は子供を父の元に預けて育てさせたと言われています。彼女の恋愛遍歴は、歌作りのインスピレーション源になったと推測されます。百人一首に収められた官能的な恋歌は、彼女自身の経験に基づいているのか、それとも創作なのか、解釈は分かれていますが、いずれにせよ、彼女の恋愛観を垣間見ることができるでしょう。

西行との交流

有名な歌人、西行との交流も記録されています。待賢門院の死後、堀河は他の女房たちと共に服喪していました。その際、西行が堀河に「あの方はどこに行ってしまったのでしょう」と問いかけたところ、「それがわかるなら私もついて行ったのに」と、深い悲しみを吐露したという逸話が残されています。このエピソードは、二人の間にある種の共感や理解があったことを示唆しています。また、西行に無視されたことに怒ったり、自身が春日明神を素通りしたりといった、彼女の人間的な一面も伺い知ることができます。

歌人としての才能

堀河は優れた歌人として知られ、『金葉和歌集』以降の勅撰集、歌合などに多くの作品を残しています。特に、彼女自身の歌集である『待賢門院堀河集』（『堀河集』）は、165首もの歌を収めており、彼女の多彩な才能と人生観を反映した貴重な資料となっています。

その中でも特に有名なのが、百人一首に選ばれた歌です。これは、恋の情景を官能的に描いた作品として知られていますが、久安百首のための題詠として作られたもので、彼女の実際の人生経験をそのまま表現したものではない可能性もあります。しかしながら、歳を重ね尼になった作者が技巧的に描いた恋愛シーンは、聴く者の心を惹きつけます。

姉妹との連歌と子の日

堀河の姉妹である上西門院兵衛との連歌も記録に残っています。また、「子（ね）の日の小松引き」という行事にも、堀河の関与が見られます。これは現代の門松の起源となった行事といわれており、堀河が「おじいさんと孫」の健康長寿を願っていた様子がうかがえます。

まとめ

待賢門院堀河は、歌人としての才能だけでなく、複雑な人間関係や、出家という人生の転換点、そして西行との交流など、彼女の人生は多くの魅力的な要素に満ち溢れています。彼女の作品は、平安時代の宮廷社会や、女性の生き様を理解する上で、貴重な手がかりを与えてくれます。彼女の生涯と作品を通して、平安時代の奥深い世界に触れてみてください。 様々な研究書や歴史小説なども参考に、より深く知ることができるでしょう。

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