律蔵 (パーリ)

律蔵（Vinaya Pitaka）

律蔵は、パーリ仏典の三つの蔵の中で最初に位置付けられています。この蔵には、僧侶が守るべき戒律や、僧団の運営に関する文書が収められており、仏教の実践において不可欠な役割を果たしています。特に律蔵は、その内容に基づき、比丘（僧）や比丘尼（女僧）がどのように生活し、修行するかを明確にするためのルールを提供します。これにより、仏教徒が仏教の教えに従い、和合したコミュニティを形成することが可能となります。

構成の概要

律蔵は多層的な構造を持ち、主に以下の部分から構成されています。
1. 波羅提木叉（pātimokkha）
- 具足戒に関する基本的な戒律が227条（比丘尼用は311条）定められています。この部分は、僧侶が守るべき主要な戒律を網羅しています。
2. 経分別（Sutta-vibhanga）
- 波羅提木叉の具体的な説明が記されています。各戒律の意義やその適用の背景について詳しく解説されており、戒を守る上での指針となります。
3. 大分別（Mahā-vibhanga）
- これは比丘戒の詳細がまとめられている部分で、特に戒がどのように適用されるかという具体的な事例とともに分かりやすく説明されています。
4. 比丘尼分別（Bhikkhuni-vibhanga）
- 比丘尼に特有の戒律などを扱ったセクションで、女性の僧侶が守るべき規則に焦点が当てられています。
5. 犍度（Khandhaka）
- 僧団の運営や日常の行動規範について記されており、僧侶たちがどのように協力し、調和を保って活動するかが詳述されています。
6. 大品（Mahā-vagga）と小品（Culla-vagga）
- これらのセクションには、より細かい規律や実践に関するケーススタディが含まれています。
7. 附随（Parivāra）
- 補足的な内容が含まれ、律の理解を深めるための参考資料として機能します。

日本語訳について

律蔵の日本語訳は『南伝大蔵経・律蔵』として全5巻が出版されており、それぞれ異なるセクションが翻訳されています。这れは日本語でパーリ語の戒律を学ぶ上で非常に貴重な資料となっています。

• - 第1巻は経分別一、
• - 第2巻は経分別二と比丘尼分別一、
• - 第3巻は犍度と大品、
• - 第4巻は犍度と小品、
• - 第5巻は附随が収められています。

これらの資料は、インターネットアーカイブなどでアクセス可能です。

関連項目

律蔵は上座部仏教において中心的な文献であり、仏教徒が学び、実践するための基本的な指針を提供しています。また、パーリ語経典の一部として、その研究や理解は仏教思想の発展に大きな影響を与えています。

律蔵は、仏教徒が教えを実践しながら、調和の取れたコミュニティを築くための重要なフレームワークを提供し続けています。

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