後楽園競輪場

後楽園競輪場の歴史

後楽園競輪場は、東京都文京区にかつて存在した競輪場であり、その歴史は江戸時代に遡ります。この土地は水戸徳川家の屋敷の一部が形成され、後に徳川頼房が庭園を作り、二代藩主の光圀によって完成されました。明治維新後、この地は旧帝国陸軍に接収され、1870年から1935年にかけて東京砲兵工廠が設置されましたが、関東大震災による被害を受けてその機能を失い、小倉に移転することとなります。その跡地は1936年に「株式会社後楽園スタヂアム」に売却され、1937年には新たに後楽園球場が建設されました。

競輪場の開設と人気の繁栄

戦後、1949年には東京都が後楽園球場近くに都内初の競輪場を設立。1994年から開催が始まり、特に12車立てのユニークな編成が話題を呼び、多くの人気を集めました。1950年代には鳴尾事件による全国的な競輪の開催中止の影響を受けて、スタンドの一部がゴルフ練習場として開放される事態もありました。それでも、1958年1月の開催では、1開催あたり約27万人の入場者数を記録し、全国一の売り上げを誇りました。このように、競輪場としての後楽園は、サッカーやボクシング、プロレスなど他のイベントでも活用されていました。

廃止と新たな展開

しかし、1967年に当選した東京都知事美濃部亮吉の方針により、東京都営のギャンブルが全面的に廃止されることが決定。これに従い、1972年に競輪場としての機能が停止されました。その後、後楽園球場は「後楽園ジャンボプール」として改装され、ゴルフ練習場も併設されましたが、1986年にプールも閉鎖され、その後、1988年には日本初の屋根付き野球場として東京ドームが建設されました。

東京ドームと競輪の復活の試み

東京ドームは、将来的に競輪を開催できるよう組み立て式のトラックを設置できる設計がなされています。都知事の石原慎太郎は競輪の復活に対する意欲を示しましたが、周辺住民の反発もあり実現には至っていません。また、東京ドームでは過去に一度だけ競輪イベントが行われ、その際にはトラックが設営されました。

結び

1960年には、後楽園競輪場の最終日には入場者数が推定7 - 8万人に達し、スタンドが混雑した結果、観客がバンク内に入り込むという異常事態も発生しました。その影響で、東京都は翌年の競輪開催を諦めざるを得ませんでした。競輪場の廃止後には多くの関係者が補償を求めましたが、交渉は難航しました。

このように、後楽園競輪場は競輪の盛況を享受した場であり、その後東京ドームとして新たな顔を持つことになりました。かつての栄光と多彩な歴史を持つこの場所は、東京都心のスポーツ文化において重要な存在となっています。

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