後深草院二条

後深草院二条について

後深草院二条（ごふかくさいんのにじょう、正嘉2年（1258年）- 不詳）は、鎌倉時代中期に活躍した女性で、『とはずがたり』の作者として知られています。彼女の具体的な没年は不明ですが、嘉元4年（1306年）以降にあたるとされています。この文章では彼女の生涯や作品についてさらに詳しく述べます。

人物略歴

二条の父は有名な公卿、中院大納言の源雅忠、母は四条隆親の娘である大納言典侍の近子です。家族背景からも彼女が貴族社会に生まれ育ったことが伺えます。また、父方の伯母には詩人の式乾門院御匣（源通光女）がいるため、詩歌の素養も受け継いでいたと考えられます。母親は二条が生まれた翌年に亡くなり、彼女は後深草院のもとで育てられました。さらに、二条が14歳のときに父も亡くなってしまい、孤独な青春を送ることとなります。

後深草院は二条を寵愛し、彼女の心の支えとなっていたものの、二条自身も多くの恋愛を経験しました。彼女は「雪の曙」と呼ばれる西園寺実兼との関係や、他にも「有明の月」として仁和寺御室性助入道親王との関係が噂されるなど、その詩的な感性をさまざまな形で表現していった様子が『とはずがたり』の前半で描かれています。

26歳のとき、二条は後深草院の中宮である東二条院からの排斥を受け、ひとまず御所を退くことを余儀なくされました。しかし、その後大宮院の女房として再び仕官し、貴族社会に戻ります。その後、出家し修行の旅に出ることとなり、西行を模範として東国や西国の寺社を訪れました。旅の中で交わった人々や出来事を通じて得た知識や経験を、『とはずがたり』の後半二巻にわたって綴っています。

非実在説

しかし後深草院二条に関する情報は、『とはずがたり』に多く依存しているため、実在を疑う声も存在しています。特に同時期の資料から彼女の生涯を裏付ける情報が少ないにも関わらず、『とはずがたり』において彼女は105首もの和歌を詠み、歌人としての才能を発揮していますが、同時代に編纂された歌集に彼女の名が見当たらない点が問題視されています。

さらに『とはずがたり』内で、二条は「雅忠卿の女（むすめ）」と記されており、その一方で貴族の系譜を扱った『尊卑分脈』には彼女の存在が確認できないという点も、彼女の歴史的実在性に疑問を投げかけています。『増鏡』には、正応元年（1288年）に久我大納言雅忠の娘とされる女房のエピソードがあり、その中で彼女の名前は三条とされていますが、その点もしばしば二条と同定されることについてさまざまな議論が交わされています。

このように、後深草院二条の実在性や彼女にまつわるエピソードには多くの謎が残されており、彼女の真実の姿を知るためにはますますの研究が待たれます。このような歴史的背景を持った後深草院二条の人生は、鎌倉時代の貴族社会や文化を理解するうえで欠かせない存在であることは間違いありません。彼女の作品や歩みを通して、多くの人々に彼女の影響が及んでいることが感じられるのです。

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