後藤勝基

後藤勝基

後藤勝基（ごとう かつもと）は、天文7年（1538年）頃に生まれたとされる戦国時代の武将です。美作国（現在の岡山県北東部）を拠点とし、激動の時代を生き抜きました。官途は摂津守とされ、左衛門尉とも呼ばれたそうです。勝元とも呼ばれています。

三星城主として

後藤氏は南北朝時代から200年にわたり、三星城を居城としていました。勝基もまた、父・後藤勝国から三星城を受け継ぎました。

出雲の尼子氏の勢力が衰え始めると、勝基は永禄3年（1560年）頃に尼子氏から離反し、備前国の浦上宗景と同盟を結びます。そして、江見久盛の倉敷城を攻めました。永禄5年（1562年）には、浦上勢を率いて美作国中央部へ侵攻を試みますが、これは失敗に終わります。

永禄6年（1563年）には、逆に三村家親に三星城を攻められますが、浦上氏の援軍を得てこれを撃退しました。その後、勝基は東美作の統一に力を注ぎ、安東氏、江見氏、小坂田氏などの土豪を配下に加え、東美作の大部分を掌握するまでに勢力を拡大しました。

浦上氏との対立、そして宇喜多氏との戦い

しかし、元亀2年（1571年）に、勝基は浦上宗景と対立し、毛利氏と結びます。居城である三星城に籠城し、宗景の攻撃を受けますが、翌年には毛利氏と浦上氏が和睦し、関係は修復されたようです。この頃、勝基は当主の座を退いたのか、息子の後藤与四郎（後の後藤元政）が文書を発給するようになります。

天正3年（1575年）、宇喜多直家が主君である浦上宗景を居城天神山城から追放し、美作国への侵攻を開始します。勝基は宗景を追放した直家に反発し、旧浦上家臣である茶臼山城主・笹部勘二郎や美作鷲山城主の星賀光重らと結んで直家に対抗しました。

しかし、天正7年（1579年）、宇喜多直家は延原景能を大将とする大軍を差し向け、茶臼山城を攻め落とします。3月にはついに三星城へも攻め寄せました。勝基は城をよく守りましたが、宇喜多氏の調略や火攻めにより、同年5月に三星城は陥落してしまいます。敗走した勝基は、長内（現在の岡山県美作市長内）の隠坂で自害し、42歳で生涯を終えました。

後年、勝基の墓として五輪塔が三星城跡に建立されています。

参考文献

田口義之「美作三星城主後藤勝元に就いて」『岡山地方史研究』第五十五号、1987年
田口義之「美作後藤氏の盛衰」『山城誌』第十七号、2003年
『美作町史』通史編、美作町史編集委員会、2007年
『美作国の山城』「美作国の山城」編集委員会、2010年
* 渡邊大門『戦国期浦上氏・宇喜多氏と地域権力』岩田書院、2011年

もう一度検索