後藤多喜蔵

後藤多喜蔵

後藤多喜蔵（ごとう たきぞう、1882年11月15日 - 没年不詳）は、日本の検察官、裁判官、内務・警察官僚、そして政治家として、明治から昭和にかけて多岐にわたる分野で活躍した人物です。

生涯

福岡県出身で、後藤増蔵の四男として生まれました。1910年、東京帝国大学法科大学法律学科を卒業後、司法省に入省。司法官試補として東京地方裁判所などで実務を経験し、1912年に検事に任官。東京、大阪の各地裁判所検事を歴任しました。その後、1916年に判事に転じ、横浜区裁判所、横浜地方裁判所にて裁判官を務めました。

1917年には内務省に転じ、京都府葛野郡長を皮切りに、福島県、滋賀県、香川県、岡山県、群馬県、京都府、富山県、広島県、神奈川県などで地方行政に携わりました。警察部長や内務部長を歴任し、地方行政の中核を担いました。

1928年、鹿児島県知事に就任。その後、千葉県知事に転任し、農村経済の向上を目指し県産園芸品の品質向上に尽力しました。1930年に知事を辞任した後は、門司市長（1931年-1937年）、日本赤十字社総務部長、神戸市助役などを歴任しました。1942年には久留米市長に就任し、戦時下や戦後の復興に尽力しましたが、公職追放の対象となり、1946年に辞職しました。

人物

後藤多喜蔵は、文芸にも造詣が深く、短歌は竹柏会に属し、俳句は高浜虚子に師事するなど、文学的な才能にも恵まれていました。多忙な公務の傍ら、文芸活動にも励み、豊かな感性を持ち合わせていたことが伺えます。

著作

『憧憬：歌集』（竹柏会出版部、1927年）

親族

妻：後藤桃子（貴族院議員・阿部浩の二女）
兄：後藤武夫（東京市会議員、帝国興信所長）

まとめ

後藤多喜蔵は、司法、行政、そして政治の世界で幅広い活躍を見せた人物です。そのキャリアは、地方行政の変遷を映し出すと共に、激動の時代を生き抜いた官僚・政治家の姿を伝えています。また、文筆家としての側面も持ち合わせており、その多才ぶりが窺えます。彼の足跡は、日本の近代史を語る上で重要な一要素と言えるでしょう。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第3巻、歴代知事編纂会、1985年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
北九州市史編さん委員会編『北九州市史 近代・現代 行政社会』北九州市、1987年。
久留米市史編さん委員会編『久留米市史』第4巻、久留米市、1989年。
人事興信所編『人事興信録』第6版、1921年。
人事興信所編『人事興信録』第8版、1928年。
人事興信所編『人事興信録』第14版 上巻、1943年。
後藤洸「父の写真に寄せて」『四街道町の文化財』第5号、四街道町教育委員会、1978年。

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