後藤宙外

後藤宙外（1867-1938）の生涯と業績

後藤宙外（ごとうちゅうがい、生年1867年1月27日）は、日本の小説家、評論家として明治後期から昭和初期にかけて活躍しました。彼の本名は寅之助です。彼は後藤家の二男として生まれ、旧家出身であったが、父の代に家計は困窮しました。

宙外は1879年に兄とともに上京し、1889年に再び東京に戻りました。この際、東京専門学校（現・早稲田大学）で専修英語科を学び、文学科に転科した後、1894年に卒業しました。卒業後には坪内逍遙の推薦により、「早稲田文学」の記者として文壇デビューを果たし、1895年には短編『ありのすさび』を発表しました。それが彼の文壇での足掛かりとなったのです。

出版活動と文壇の影響

1897年には、島村抱月や小杉天外らと共に「丁酉文社」を結成し、評論集『風雲集』を共著するなど、活発な文学活動を展開しました。1900年には春陽堂に入社し、「新小説」の編集主任として重要な役割を果たしました。彼は田園文学を実践するために、福島県の猪苗代湖畔に家を構え、編集業務と創作を並行して行いました。この地では多くの著名作品が発表される一方で、彼自身も社会小説や深刻小説を執筆し続けました。

文学スタイルの変遷

彼の初期の作品は、尾崎紅葉や泉鏡花の影響を受けながらも、社会問題を意識した作品が多かったですが、1907年の『非自然主義』では反自然主義を唱えたことで、彼の文学範疇は大きく変化しました。1909年には東京に転居し、「新小説」に反自然主義の看板を掲げるなど、新たな文学潮流を模索していました。しかし、時代の流れに逆らう活動が多くなり、その後文壇から遠ざかることとなります。

1914年の秋田時事社長としての仕事をきっかけに、彼は秋田に移り住み、地元の考古学・史学などの研究に没頭しました。1919年には六郷町長に推挙され、8年間の任期を務めるなど、地域の発展に寄与しました。

晩年と死去

彼は1938年6月12日に脳卒中で死去。最期は福島県の猪苗代湖畔にある別荘で迎えました。戒名は香雲院釈宙外と付けられました。その後、後藤家は家族によって継承され、宙外の文学的遺産は今なお評価されています。

主な作品

• - 『ありのすさび』 - 文壇デビュー作。
• - 『腐肉団』 - 政治小説として注目。
• - 『非自然主義』 - 反自然主義を宣言。
• - 『明治文壇回顧録』 - 文壇の回顧を記述した作品。

後藤宙外の業績は、彼自身の文学的探求を超えて、明治から昭和にかけての日本の文壇に多大な影響を与え続けています。

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