後藤惟明

後藤惟明（ごとう これあき）

後藤惟明は、戦国時代の肥前国（現在の佐賀県、長崎県の一部）で活躍した武将です。天文14年（1545年）に生まれ、没年は不明です。通称は弥二郎と称しました。

生い立ちと養子縁組

惟明は、平戸松浦氏の当主・松浦隆信の次男として誕生しました。その後、武雄の後藤氏当主である後藤貴明の養子となります。この養子縁組は、当時、貴明に実子がいなかったことと、松浦隆信が宗家の相神浦松浦氏と対立していたため、後藤氏の支援を求めるという政治的な背景がありました。惟明は、松浦氏と後藤氏の関係を繋ぐ重要な役割を担っていました。

後藤氏での立場

しかし、永禄5年（1562年）に貴明に実子・晴明が誕生すると、惟明の立場は不安定になります。さらに翌年には、相神浦松浦氏が平戸松浦氏に降伏したことで、惟明が養子となった政治的な意味合いも薄れていきました。後藤家内での惟明の立場は徐々に弱まっていきました。

養父への反逆と失脚

天正2年（1574年）、ついに惟明は養父・貴明に対して反逆を起こします。一時的には貴明を居城から追放するまでに至りました。しかし、貴明が龍造寺隆信に支援を求めたため、惟明は龍造寺軍の攻撃を受けることになります。同年8月、惟明は龍造寺軍に降伏し、後藤氏での立場を完全に失いました。養子縁組も解消され、後藤氏での居場所を失った惟明は、実家である平戸松浦氏を頼って落ち延びることとなりました。

隠棲とその後

実家に戻った惟明は、日宇（現在の佐世保市）に隠棲しました。また、白岳神社は惟明が建立したという伝承が残っています。この神社は、現在も地域の人々に大切にされています。

系譜

父：松浦隆信
母：不詳
養父：後藤貴明
正室：平井経治の娘

参考文献

白岳神社公式ホームページ
武雄市史

このように、後藤惟明は、戦国時代の激動の中で、養子としての複雑な立場に翻弄され、最終的には失脚するという波乱に満ちた生涯を送りました。しかし、彼が建立に関わったとされる白岳神社は、現在もその存在を静かに伝えています。

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