後藤晃

後藤 晃

後藤 晃（ごとう あきら）氏は、1945年9月7日に大分県で生まれた日本の経済学者です。産業組織論を専門とし、東京大学名誉教授の称号を持ち、現在は公正取引協会の会長を務めています。学術研究だけでなく、政策決定や産業界にも貢献してきた人物です。

学歴

後藤氏は1964年に福岡県立修猷館高等学校を卒業後、一橋大学経済学部へ進学し、1968年に卒業しました。大学では馬場啓之助氏のゼミで学びました。その後、同大学院経済学研究科の博士課程に進み、1973年に単位取得退学。大学院では藤野正三郎氏の指導を受けました。1993年には、一橋大学より博士（経済学）の学位を取得。博士論文のタイトルは『日本の技術革新と産業組織』です。

職歴

教育・研究者としてのキャリアは、1973年4月に成蹊大学経済学部の講師として始まりました。成蹊大学では助教授を経て、1982年4月には教授に昇任しました。1989年からは一橋大学経済学部教授を務め、1997年4月には一橋大学イノベーション研究センター教授に就任しました。

2001年11月からは東京大学先端経済工学研究センター教授（2007年2月まで）として研究活動を行い、2003年4月には同センター長も兼務しました。また、2003年7月からは東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻教授も併任しました。東京大学を退職後、2007年6月に東京大学名誉教授の称号を授与されました。2007年には東京大学先端科学技術研究センターのボードメンバーも務めています。教育・研究機関としては、この他、2004年に政策研究大学院大学客員教授、2012年2月からは同大学政策研究科教授としても教鞭をとりました。

学界以外では、1995年3月から科学技術庁科学技術政策研究所総括主任研究官を併任しました。2007年2月から2012年2月まで、公正取引委員会の委員として、日本の競争政策に深く関与しました。民間企業では、2014年5月より株式会社髙島屋の取締役を務めました。2016年5月には特許庁の知的財産経済アドバイザーに就任し、知的財産分野の経済分析に基づいた助言を行いました。そして、2023年7月からは公正取引協会の会長に就任し、現在に至ります。この間、本田財団理事・評議員や独立行政法人経済産業研究所ファカルティフェローなども歴任しました。

研究テーマ・業績

専門である産業組織論を軸に、後藤氏は日本の技術革新や企業競争のダイナミズムに関する研究を数多く発表しています。企業行動、イノベーションプロセス、産業構造の変化などを分析し、学術的な知見を提供するとともに、政策立案にも影響を与える研究を行ってきました。

主な著書・受賞歴

主な著書には、博士論文を基にした『日本の技術革新と産業組織』（1993年）、イノベーション論を分かりやすく解説した『イノベーションと日本経済』（岩波新書、2000年）などがあります。共著としては、『新・日本経済論』（1989年）、『日本の企業進化 - 革新と競争のダイナミック・プロセス』（1998年）などがあります。

これらの長年の功績に対し、後藤氏は複数の栄誉ある賞を受賞しています。2005年には、産業財産権制度への貢献が認められ、産業財産権制度関係功労者表彰として経済産業大臣表彰を、2007年には科学技術賞として文部科学大臣表彰を受けています。

後藤晃氏は、経済学者として長年にわたり、教育、研究、そして政策や産業界における活動を通じて、日本の経済社会の発展に多大な貢献をしている人物です。

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