後藤総一郎

後藤総一郎の生涯と業績

後藤総一郎（ごとう そういちろう、1933年12月5日 - 2003年1月12日）は、日本の思想史学者であり、特に柳田国男の研究を通じて民俗学の発展に寄与した重要な人物です。

幼少期と教育背景

長野県下伊那郡和田組合村遠山郷（現在の飯田市）に生まれた後藤は、1952年に長野県飯田東高等学校を卒業しました。高校卒業後、病気療養を経て、1955年に明治大学法学部に入学し、その後政治経済学部に転学しました。学問に対する情熱は非常に高く、大学在学中から積極的に研究活動を行いました。

学問の道と職歴

後藤は、東京教育大学で講師を務めた後、明治大学に移り、1987年には同校政治経済学部の教授に就任しました。1996年から1999年の間は、同大学の図書館長を務めました。また、1990年から2003年までの間、柳田國男記念伊那民俗学研究所の初代所長としても活躍しました。これらの職務を通じて、後藤は民俗学の普及と発展に努めました。

研究分野と業績

後藤は、橋川文三に師事し、柳田国男の研究を中心に活動しました。彼は「柳田国男研究会」を設立し、市民向けの講座「常民大学」を主宰しました。彼の影響は広範で、多くの学生や研究者に刺激を与えました。

後藤の著書には、1972年の『柳田国男論序説』や、1974年の『常民の思想 民衆思想史への視角』、1975年の『天皇神学の形成と批判』などがあり、これらは日本の思想史や民俗学における重要な文献として評価されています。特に、彼の論文や著作は、柳田国男の思想が広がる過程を明瞭に示しており、後藤自身の研究スタイルや思考方法も多くの読者に影響を与えました。

編著や共編著

また、後藤は多くの編著や共編著も手掛けています。『人と思想 柳田国男』や『柳田国男の学問形成 共同研究』、さらには『常民大学の学問と思想 柳田学と生活者の学問・25年の史譜』などの作品があり、これらは柳田学の普及と発展に大きく寄与しました。

最後の時期

後藤は2003年に逝去するまで、研究やな著作活動を続けました。晩年には、悪性リンパ腫に苦しみながらも、最後まで学問への情熱を持ち続けました。彼の貢献は、現在の日本における民俗学の地位を確立する上で非常に重要であり、その業績は今なお多くの人々に影響を与えています。後藤の研究は、民衆思想の重要性と地域文化の価値を再認識させるものでありました。

彼の業績は、民俗学だけでなく、日本の思想全般において重要な位置を占めており、後世に受け継がれる価値があります。

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