後藤職明

後藤職明（ごとう しきあきら / しきあき）

生没年不詳の戦国時代の武将で、肥後後藤氏の第17代当主であり、武雄の領主でした。第16代当主である後藤正明の子として生まれました。

経歴

後藤職明は、塚崎庄の総地頭となり、長島庄も兼領していたと伝えられています。当時の西肥前は、応仁の乱後、小城の千葉氏、高来の有馬氏、平戸の松浦氏といった有力な勢力が割拠しており、後藤氏はこれらの勢力に囲まれた状況でした。

このような状況を打破するため、文明15年（1483年）5月、職明は、長島庄潮見城主の橘姓渋江公直、伊万里城主の伊万里仰、鹿島の在尾城主の大村胤明と同盟を結びました。この同盟は、周辺の有力勢力に対抗するためのものでした。その後、職明、渋江公直、大村胤明の三者は、橘姓中村公継に藤津郡大草野（現在の嬉野市塩田町大草野）の北部を与えたとされています。

明応5年（1497年）12月には、黒髪右京亮家俊が黒髪神社大宮司職を継ぐにあたり、職明がその就任を認める允許状を与えた記録が、黒髪神社に残されています。

また、黒髪山の法印であった頼憲には後継者候補が二人いましたが、跡継ぎに選ばれなかった一人が頼憲を恨み、「頼憲は有馬貴純と通じて職明を調伏した」という噂を流しました。この噂を信じた職明は、頼憲を矢で射殺してしまい、その結果、祟りがあったという話が伝えられています。

職明の居館は、武雄市武雄町富岡の赤尾にあったとされています。子がいなかったため、自身の娘と潮見城主である橘姓渋江公勢との間に生まれた子（後の純明）を養子に迎えました。

関連事項

後藤氏: 肥前国の武士。
橘公業: 肥前橘姓渋江氏の祖で、鎌倉幕府より長島庄を与えられました。

後藤職明は、戦国時代の激動期を生き抜いた武将であり、その行動や決断は、当時の状況や人間関係を色濃く反映しています。領土の拡大や同盟の締結、黒髪神社との関わり、そして悲劇的な事件など、様々な側面から彼の生涯を垣間見ることができます。後継者には養子を迎えたことで、後藤氏の血脈は次の世代へと引き継がれていきました。

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