徐乾学

徐乾学（じょ けんがく）

徐乾学（1632年 - 1694年）は、清代初期に活躍した学者・政治家です。字は原一、号は健庵・玉峰先生。多くの別名を持ち、学問に励む傍ら、政治の世界でも重要な役割を果たしました。彼は顧炎武の甥にあたり、幼少の頃から学問に秀でていました。

生涯と業績

8歳から文章を読みこなし、順調に科挙の階段を駆け上がりました。1660年に挙人となり、1670年には進士に合格（探花）。内弘文院編修に任命され、その後も明史編纂総裁官、大清会典副総裁、大清一統志副総裁などを歴任。康熙帝の側近として、著作に関する業務を数多く任されるほど、皇帝からの信頼も厚かった人物です。

学者としても、胡渭、万斯同、閻若璩、黄儀、顧祖禹など、当時の著名な学者たちと交流がありました。

しかし、順風満帆な人生ばかりではありませんでした。1687年頃から、朝廷内には党派争いが激化。徐乾学自身も、多くの客人を抱え、高士奇や王鴻緒といった姻戚・友人たちの中心人物と見なされるようになります。弟である徐元文・徐秉義とともに「崑山三徐」とも呼ばれました。

次第に、徐乾学の周辺には不正を働く者も現れ、御史の郭琇から「党を結び、巨額の賄賂を収めている」と弾劾される事態に。副都御史の許三礼からも「乾学は自らを厳しく律することができていない」と批判されました。これらの批判は、朋党間の争いによる誇張も含まれていると考えられますが、全くの虚偽とも言い切れません。

一連の騒動を受け、徐乾学は刑部尚書を辞任。修書の総裁に専念し、1689年に故郷に戻り、著述に専念することになります。その学識の高さから康熙帝が再び召喚しようとしましたが、その時には既に亡くなっていました。遺言により、編纂中であった『大清一統志』が朝廷に献上され、死後、元の官職に復されました。

主な編纂・著述

徐乾学は、学者・政治家として数多くの編纂・著述に携わりました。以下に主なものを列挙します。

編纂

『明史』（奉勅）
『大清会典』（奉勅）
『大清一統志』（奉勅）
『世祖章皇帝聖訓』（奉勅）（1687年）
『太宗文皇帝聖訓』（奉勅）（1687年）
『通志堂経解』（1680年）
『鑒古輯覧』
『古文淵鑒』（64巻）

著述

『澹園集』（30巻）
『憺園集』（36巻）
『読礼通考』（120巻）
『文集』（24巻）
『外集』（4巻）
『虞浦集』
『詞館集』
『碧山集』
『歴代宗廟考』
『輿地備考』
『輿地紀要』
『輿地志』
『資治通鑑後編』（184巻）
『伝是楼宋元板書目』（1巻）
『伝是楼書目』（8巻）
『教習堂條約』（1巻）


徐乾学は、清代初期の学術・文化の発展に大きく貢献した人物と言えるでしょう。

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