万斯同

万斯同（ばん しどう）は、中国清代の学者であり、字は季野、石園先生とも称されました。崇禎11年（1638年）に生まれ、康熙41年（1702年）に65歳で没しました。寧波府鄞県の出身で、万泰の八男であり、兄に万斯大がいます。

略歴

生まれつき非常に聡明で、非凡な才能を持っていました。45歳になるまでに家にある蔵書を全て読み尽くし、独学で古学を研究し、経史に広く通じました。特に明代の歴史や制度（掌故）に詳しく、その知識は他の追随を許しませんでした。康熙17年（1678年）には、博学鴻詞科に推薦されましたが、官職には就きませんでした。これは、彼の学問に対する姿勢を示すものでしょう。

その後、万斯同は庶民の身分でありながら史局に参加し、『明史稿』500巻を自力で完成させました。これは彼の学識と研究能力の高さを示すものであり、清朝の歴史研究に大きく貢献しました。また、尚書であった徐乾学のために『読礼通考』200余巻を編纂するなど、その学術的な貢献は多岐にわたります。

万斯同は、利益を追求することを嫌い、学友や弟子に対しては、ひたすら読書に励み、学問を深めるように勧めました。互いに切磋琢磨し、学問を高め合うことを望んだと言われています。彼の学問に対する真摯な姿勢は、多くの人々に感銘を与えました。65歳で亡くなった際には、門人たちによって貞文先生と諡されました。

著書

万斯同は多くの著作を残しており、その内容は歴史、文学、制度など多岐にわたります。主な著書としては以下のものがあります。

『石園詩文集』 (20巻)
『歴代史表』
『紀元彙考』
『宋季忠義録』
『南宋六陵遺事』
『庚申君遺事』
『崑崙河源考』
『河渠考』
『儒林宗派』
『石経考』
『石鼓文考』
『群書辯疑』
『書学彙編』
『周正彙考』
『歴代宰輔彙考』
『喪礼辯疑』
『廟制折衷』
『廟制図』

これらの著作は、彼の幅広い知識と深い学識を示すものであり、後世の学者たちに大きな影響を与えました。

参考文献

万斯同に関する情報は、以下の文献に詳しい記述があります。

『清史稿』巻489
『国朝先正事略』巻32
『碑伝集』巻131
『清代樸学大師列伝』巻13

これらの文献を参照することで、万斯同の生涯や業績についてより深く理解することができます。万斯同は、清代の学術界において重要な役割を果たした人物であり、その学問に対する情熱と貢献は、今もなお高く評価されています。

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