徐小明

徐 小明

香港生まれの徐 小明（ツイ・シウミン、Tsui Siu-Ming）は、1953年11月28日にこの世に生を受けました。彼は、映画監督、プロデューサー、脚本家、そして俳優と、多岐にわたる顔を持つ香港エンターテインメント界における重鎮の一人です。長年にわたり、その才能を様々な分野で発揮し、中華圏の映像文化に大きな影響を与えてきました。

彼のキャリアは俳優として始まりました。1970年代、RTV（麗的電視）のテレビドラマに数多く出演し、その名を広めます。初期の出演作には、『家春秋』『鬼馬神偷』『窮巷』『小檈夢春』『梁天來』(いずれも1974年)、『海角風雲』(1975年)、『龍蟠虎蜛』(1976年)などがあります。特に1980年代に入ると、彼は香港テレビドラマ史に名を刻むこととなる武侠ドラマで中心的な役割を担います。1981年の『大俠霍元甲』、そして翌1982年の続編『陳真』は、プロデューサーとしても参加しながら自身も出演し、アジア各地で大ヒットを記録しました。1984年の『霍東閣』でも、程小嬌役として出演するとともに、プロデュースも手掛けるなど、このジャンルにおける彼の貢献は特筆されます。

俳優としての成功にとどまらず、徐小明は監督、プロデューサー、脚本家としても精力的に活動を展開します。監督としては、武術アクション映画の分野で手腕を発揮しました。1984年の『少林寺・激怒の大地』(原題：木棉袈裟)や、壮大な冒険活劇『天山回廊 ザ・シルクロード』(原題：海市蜃楼、1986年)は、異国情緒あふれるロケーションと迫力あるアクションシーンで観客を魅了しました。他にも、『幫規』(1982年)、『風生水起』(1983年)、『クレージー警部/替え玉大作戦』(原題：烏龍賊替身、1988年)、『衛斯理之霸王卸甲』(1991年)、『特異功能猩求人』(1992年)、そしてテレビドラマシリーズ『フビライ・ハン』(原題：忽必烈传奇、2013年)など、多岐にわたる作品を手掛けています。

プロデューサーとしては、テレビドラマ、映画を問わず、1970年代後半から現代に至るまで数多くの作品を生み出してきました。テレビドラマでは、『牛精良』『危險人物』(1977年/1978年、RTV)、武侠ドラマブームを牽引した前述の諸作や、『再向虎山行』『鐵膽英雄』(1983年、亜州電視)、『神相李布衣』『第四代』(1984年/1985年、亜州電視)、『杜心五』『無名火』(1987年/1988年、無綫電視)などがあります。映画プロデューサーとしては、サンドリーム・モーション・ピクチャーズという自身の率いるプロダクションを中心に活動しており、質の高い作品を世に送り出しています。ウォン・カーウァイ製作の『ロアン・リンユィ 阮玲玉』(1991年)、青春映画の傑作と称される『藍色夏恋』(原題：藍色大門、2002年)、日中韓合作の歴史大作『墨攻』(2006年)、アクションコメディ『ツインズ・ミッション』(2007年)、ウォン・カーウァイ製作のメロドラマ『僕は君のために蝶になる』(原題：蝴蝶飛、2008年)など、国際的にも評価されたり、興行的に成功したりした作品を多数手掛けています。その他、『犀照』(2006年)、『ナッシング・イズ・インポッシブル』(2006年)、『天使の眼、野獣の街』(2007年)、『李米的猜想』(2008年)、『奪標』(2008年)、『秘岸』(2008年)、『PLASTIC CITY プラスティック・シティ』(2008年)といった幅広いジャンルの作品をプロデュースしています。

脚本家としても活動しており、『犀照』(2006年)や『ツインズ・ミッション』(2007年)などの作品で脚本に名を連ねています。俳優としても、キャリア初期のテレビドラマ出演に加え、近年では香港アクション映画の歴史を振り返るドキュメンタリー映画『カンフースタントマン 龍虎武師』(2021年)に出演し、自らの経験を語る姿を見せました。

芸術的な活動に加え、徐小明は実業家としての側面も持っています。現在は有線娯楽有限公司の代表取締役、有線寬頻（i-CABLE）の高級管理者、そして自身の会社であるサンドリーム・モーション・ピクチャーズとサンドリーム・ミュージックの最高経営責任者といった要職にあり、メディア企業の経営にも深く関わっています。

俳優として大衆的な人気を博し、監督やプロデューサーとしては多ジャンルにわたる数多くの作品を成功させ、さらにはメディア企業の経営者としても手腕を発揮する徐小明は、香港エンターテインメント界において非常に稀有で重要な存在であり続けています。彼の多角的な貢献は、今後も長く語り継がれることでしょう。

（ディスコグラフィーとしては、1996年に『徐小明名曲精選』というアルバムがリリースされています。）

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