徐萬述

徐萬述の生涯と業績

徐萬述（ソ・マンスル、1927年4月17日 - 2012年2月19日）は、在日本朝鮮人総聯合会（朝鮮総連）の第2代中央常任委員会議長として知られ、日本における朝鮮人コミュニティのリーダーシップを担った重要な政治家です。また、北朝鮮の最高人民会議の代議員も務めました。

経歴の概要

徐は慶尚北道慶州郡で生まれ、1941年に日本へ渡りました。1955年には朝鮮総連が結成される際に参加し、以降は同団体の組織の中で重要な地位を占めることになります。1968年には広島県本部の委員長に就任し、その後も組織の中央常任委員会において重要な役割を果たしていきました。1973年には中央常任委員会の組織局長に任命され、1983年には副議長、1998年には第一副議長に昇進しました。

2001年5月、徐は当時病を患っていた韓徳銖に代わり中央常任委員会の議長に選出されました。議長在任中には日朝首脳会談の実現に向けた動きに積極的に関与し、2006年5月には在日本大韓民国民団との和解を図り、共同声明を発表しました。ところが、同年7月に北朝鮮がミサイル実験を行ったため、この和解は早々に破綻してしまいました。

最後の日々と葬儀

2012年2月19日、徐萬述は東京都内の自宅で心不全により亡くなりました。彼の葬儀は2月25日に行われ、多くの参列者が訪れ約600人が弔意を示しました。葬儀の際には北朝鮮の金正恩第一書記から弔花が贈られるなど、徐の存在感を示す出来事がありました。また、日本の政治家からも弔電が寄せられるなど、彼の影響力が垣間見える場面がありました。

徐の遺骨は北朝鮮に移送され、「北朝鮮の英雄」として朝鮮人民軍の儀仗隊に見送られ、愛国烈士陵に埋葬されました。

徐萬述の人物像

朝鮮総連の指導者としての地位にあったものの、実権は責任副議長の許宗萬が握っていたため、徐は対外的な窓口役割を中心に活動していました。彼の健康が衰えるにつれて、その傾向はさらに顕著になりました。許は北朝鮮での評価が高かったですが、彼の強引な手法から人望に欠けていたため、組織内のバランス感覚に優れる徐が後任として選ばれたという背景があります。

結語

徐萬述は在日本における朝鮮人社会の中で重要な役割を果たし、政治的な動きにおいても影響を与えてきたリーダーです。その生涯を通じて、彼は多くの人々と関わりを持ちながら、朝鮮人の権利や地位向上に向けた努力を続けました。彼の業績は、日本と北朝鮮との関係にも影響を与えた重要な一端を担ったといえます。

もう一度検索