徐薫

徐薫（ソ・フン）

徐薫（ソ・フン、서훈、1954年12月6日 - ）は、韓国の行政官、外交官、そして情報機関職員です。文在寅（ムン・ジェイン）政権下では、長官級の職位である大統領府国家安保室長を務めました。

経歴

1954年、ソウルで生まれた徐薫は、ソウル大学を卒業後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学国際関係大学院で修士号を取得。さらに、東国大学校で政治学博士号を取得しました。

1980年に国家安全企画部に入庁し、2008年3月に退職するまで国家情報院に勤務。盧武鉉（ノ・ムヒョン）政権時代には、国家情報院の対北朝鮮戦略室長を経て、第3次長を務めました。2017年には、文在寅政権下で第13代国家情報院長に任命されています。

2020年6月16日、北朝鮮が開城（ケソン）工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破。これにより、南北関係の悪化が懸念されました。これを受け、大統領府は外交安保関係の人事刷新を図り、2020年7月3日の発表で、徐薫は国家情報院長を退任。前任の鄭義溶（チョン・ウィヨン）に代わり、大統領府国家安保室長に就任しました。

徐薫は、2000年の南北首脳会談と2007年の南北首脳会談という、二度の南北首脳会談を水面下で主導した対北朝鮮専門家として知られています。また、金正日（キム・ジョンイル）朝鮮民主主義人民共和国国防委員長と最も多く対面した人物の一人ともされています。

2018年の南北首脳会談でも重要な役割を果たしました。国家情報院と朝鮮労働党統一戦線部の間に設置されたホットラインを通じて水面下の接触を続け、北朝鮮の2018年平昌（ピョンチャン）オリンピック参加、そして北側の高位級代表団と韓国の対北特使団訪問などを実現させました。

2020年8月22日には、韓国を訪問した中国の楊潔篪（ヤン・ジエチー、中国共産党外交担当政治局員）と釜山（プサン）市で会談し、習近平（シー・ジンピン、中国共産党総書記）の早期訪韓などを取りまとめました。

しかし、2022年12月3日、2020年に黄海上（ファンヘサン）で起きた北朝鮮軍による男性公務員射殺事件に絡み、南北融和を重視する文在寅政権の意向にそぐわない情報を握りつぶしたとして、職権乱用などの疑いで逮捕。同年12月9日に起訴されました。さらに、2023年2月28日には、2019年に北朝鮮の船員2人を亡命の意思に反して強制送還したとして、文在寅政権時代の他の高官3人と共に職権乱用の罪などで起訴されています。

このように、徐薫は南北関係において重要な役割を担った一方で、その行動が法的な問題を引き起こし、批判を浴びることとなりました。

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