御代始

御代始（ごだいはじめ）について

御代始とは、新たに君主が即位した際に実施される一連の施策や政策を指しています。これらの施策は、前の君主が亡くなるか隠居することに起因していて、新しい治世の確立を目指すものであり、通常、民衆の支持を得ることを重要視します。

概要

新君主は、できるだけ早く民衆の信頼を得る必要があります。また、民衆側も新しい君主の統治下で旧弊が解消され、彼らの利益になる新しい政策が実施されることを期待しています。このように、御代始は君主と民衆の双方にとって重要な意味を持つものです。
中世においては、君主からは「御代始の徳政」という形で行動が見られました。一方、民衆からは、徳政を求める「徳政一揆」などの抗議行動が起こることもありました。

江戸幕府における御代始

江戸幕府においては、2代将軍の徳川秀忠と3代将軍の徳川家光の両者が、将軍位に就いてから約10年ほどは、大御所であった前将軍が実際の政務を取り仕切る時期が続きました。前将軍が死亡すると、即座に「御代始」が宣言され、新将軍は積極的に政務に臨む姿勢を示しました。この流れから、江戸幕府では幼少の将軍を除き、将軍職の就任や大御所の死亡時には、必ず「御代始」に基づく新政策が発表される慣例が確立されました。

幕政改革との関連

有名な幕政改革とされる「三大改革」—享保の改革、寛政の改革、天保の改革—は、各々がそれぞれ8代将軍の徳川吉宗、11代将軍の徳川家斉、12代将軍の徳川家慶の「御代始」の一環とされています。近年では幕末の安政の改革や慶応の改革もそれぞれ13代将軍の徳川家定、15代将軍の徳川慶喜の「御代始」と結びつけて考えられています。一方で、文久の改革は孝明天皇の勅使が江戸に下向したこととは関連があるものの、「御代始」とは無関係とされています。

地方における御代始

さらに、地方においても、領主が交代する際や改易によって新たな領主が入部する場合にも、「御代始」に対する期待が強く存在しました。これにより、新しい政策や改革が地方でも求められ、民衆の生活に直接的な影響を与えることとなります。

御代始は、君主の統治が新たに始まることを象徴する大切な儀式やプロセスであり、歴史における政治的な変革の象徴ともいえるでしょう。

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