御勝山古墳

御勝山古墳

御勝山古墳は、大阪市生野区勝山北に位置する古墳です。かつては「岡山」または「丸山」と呼ばれていましたが、大坂冬の陣において徳川秀忠が陣を敷き、勝利を収めたことから「御勝山」と呼ばれるようになりました。

概要

墳長約120mの前方後円墳であり、帝塚山古墳や茶臼山古墳と共に、上町台地上に現存する主要な古墳の一つです。後円部の墳丘は、国土地理院の標高点では標高14m、公園内の表記では標高13.25mとされ、大阪五低山の一つに数えられています。

現在、古墳の中央を勝山通が貫いており、古墳付近はわずかに盛り上がった地形となっています。南側の前方部は崩され「御勝山南公園」として整備されていますが、北側の後円部は原形を留めており、「御勝山公園」の一部となっています。

後円部の東側は桑津街道、鶴橋街道、俊徳街道の交差点であり、かつては交通の要所でした。この古墳は、大小橋命（オオバセノミコト）の墓であると言われていますが、確証はありません。『摂津名所図会 巻3』の「岡山」の項には「大小橋命の廟所」と記されています。

江戸時代以前は「岡山」または「丸山」と呼ばれていました。『摂津名所図会大成 巻6』には「今岡村の岡山といふ、是猪飼野の岡の略語なり」と記されています。戦国時代には大坂本願寺の出城である丸山城がありました。大坂冬の陣において将軍徳川秀忠が陣を敷いて勝利を得たことにより、岡山を改め御勝山と称したのが名前の由来です。

明治時代には大阪府立農学校（現在の大阪府立大学）の敷地の一部となり、北側は昭和23年(1948年)から御勝山公園として利用され、南側は昭和8年(1933年)から昭和43年(1968年)まで大阪管区気象台として使用され、昭和49年(1974年)より御勝山南公園として利用されています。

発掘調査

御勝山古墳では過去に3度の発掘調査が行われています。

1931年には、大阪府における主要な古墳墓として、茶臼山古墳、帝塚山古墳などと同時に調査が行われました。当時すでに勝山通が開通しており、1890年には大阪府立農学校（現在の大阪府立大学）が当地に移転した関係で、南側の前方部は切り崩され原形を保っていませんでした。しかし、北側の後円部は墳丘や濠が残っており、調査の結果、全体の外形としては長軸約110m、後円部は径約54.5m高さ約7m、くびれ部の幅は約36.5m周濠の幅は約15～18m、南北の墳丘の残りは約73mと推定されました。

1973年には短期の発掘調査が行われ、陶器の破片などが発見されたため古墳である可能性が高まりましたが、調査期間や予算の都合により詳細な調査には至りませんでした。

1990年の調査では、大阪市域では最古とされる縄文時代前半の土器片が発見され、この附近は勝山遺跡と名付けられました。

史跡指定

大阪府指定文化財 史跡（1972年3月31日指定）

墳丘の外観

御勝山古墳は、前方後円墳の形状を比較的良好に留めており、歴史的な景観を今に伝えています。

関連項目

大小橋命
俊徳街道・十三街道
大坂冬の陣
徳川秀忠
大阪管区気象台
大阪府立大学

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