俊徳街道・十三街道

十三街道と俊徳街道：歴史と伝説の道

十三街道（じゅうさんかいどう）と俊徳街道（しゅんとくかいどう）は、大阪府大阪市から奈良県生駒郡斑鳩町竜田を結ぶ街道です。古くは玉祖道とも呼ばれ、大阪の玉造と八尾市の玉祖神社を結ぶ道として利用されていました。中世には十三峠道や俊徳道と呼ばれ、近世以降に現在の名称で呼ばれるようになりました。地理的・歴史的に密接な関係があり、しばしば一体として扱われます。

歴史と経路

奈良時代から、難波と平城京を結ぶ主要な街道の一つとして整備されました。俊徳街道は四天王寺南門付近から始まり、東大阪市の三ノ瀬付近で十三街道と合流します。十三街道は玉造駅付近から始まり、東大阪市足代付近で暗越奈良街道と分かれ、三ノ瀬で俊徳街道と合流します。合流地点までは諸説あります。

その後、俊徳道駅付近を通過し、若江南で河内街道と合流し、八尾市幸町で分岐。心合寺山古墳の北側、神立地区を経て十三峠を越え、平群町福貴畑地区、平群町役場付近で清滝街道と合流し、斑鳩町の竜田大橋付近で奈良街道に合流します。

伝説と史跡

街道沿いには数々の伝説や史跡が残されています。

玉造と玉祖神社

八尾市神立には玉祖神社があり、付近には古代から曲玉を作っていた玉造部の人々が住んでいました。大阪の玉造と深い繋がりがあり、街道を通じて交流があったと考えられています。

在原業平伝説

平安時代の歌人、在原業平が竜田から十三峠を越え枚岡神社に参詣した際、「神立茶屋辻」の茶屋娘「梅野」に恋し、八百夜通いつめたという伝説が『業平の高安通い』として伝わっています。この伝説から、天理市から八尾市に至る道筋は業平道とも呼ばれています。玉祖神社には、業平が梅野を呼ぶために吹いたという笛が伝えられています。

俊徳丸と俊徳道

河内国高安に住んでいた俊徳丸が、高安から四天王寺に通った道筋とされ、沿道には「俊徳」の名が付く施設や旧跡が多く残されています。八尾市山畑地区には俊徳丸鏡塚と呼ばれる塚があり、元々は高安古墳群の一つですが、俊徳丸の伝説と結びついています。

水呑地蔵・十三塚

八尾市神立・十三峠の中腹には水呑地蔵院があり、霊水として知られる水呑地蔵が祀られています。十三峠の北側の尾根には生駒十三峠の十三塚があり、街道と峠の名の由来となっています。

主要な沿道施設・史跡

街道沿いには、御勝山古墳、平野川（俊徳橋）、城東運河（北巽橋）、布施警察署、近鉄俊徳道駅、JR俊徳道駅、大阪府立布施工科高等学校、近畿大学、第二寝屋川、市立埋蔵文化財調査センター、大阪府営高砂住宅、恩智川（福栄橋）、大阪府立みどり清朋高等学校、心合寺山古墳、水呑地蔵院、十三峠、生駒十三峠の十三塚、大石橋、平群町立平群西小学校、竜田川など多くの史跡や施設があります。

参考資料

武藤善一郎著「大阪の街道と道標」改訂版
杉山三記雄著「河内の街道を歩く② 俊徳街道・十三街道」

関連項目

街道
俊徳丸
在原業平
後藤明生（「しんとく問答」という作品がある）

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