御守殿

御守殿（ごしゅでん）について

御守殿とは江戸時代において、徳川将軍家の娘が大名と結婚し、その家に居住するために設けられた特別な居住空間を指します。このような奥御殿は、正室の敬称としても使われ、同時にその周囲で仕える女中や髪結い、さらには服装などの風俗を指す言葉としても知られています。御守殿は、ただの居住施設ではなく、当時の社会構造や文化、女性の地位などをよく示す要素が含まれています。

仙台藩の御守殿の実例

仙台藩では享保20年（1735年）、藩主伊達吉村の子である正室として徳川吉宗の養女利根姫との結婚に伴って特別な御守殿が建設されました。これは幕府の指示に基づいており、藩主の居住地である江戸藩邸の中屋敷の一部に新たに御守殿が設けられることになりました。

この御守殿は「長局」と呼ばれる女中が住む空間を持ち、さらに江戸城の大奥に見られる建築様式を模倣して造られました。実際に、構造の検査においては、鴨居の高さが江戸城の大奥に合わせるようにとの指示があったことからも、その重要性が伺えます。

寛保3年（1743年）、宗村が藩主となり、利根姫が上屋敷に移る際、従来の御守殿も改築されました。そして、延享2年（1745年）に上屋敷に御守殿が完成し、正室として正式に居住することとなりました。このように、仙台藩の御守殿は、その立地や規模、さらには周囲との調和を大切にしながら、年々その形を整えていったのです。これらの建物の詳細な設計図は「大日本古文書　家わけ三　伊達家文書之六」にも記載されています。

御守殿門の特徴

御守殿の門は「御守殿門」（ごしゅでんもん）と呼ばれ、其の特徴的な丹塗りから、一般に赤門と知られています。この赤門は、黒門と対比される存在であり、焼失した際には再建が許可されないという慣習が存在しました。現存する御守殿の門としては加賀藩前田家の上屋敷にあたる赤門があり、現在は東京大学本郷キャンパスの赤門として利用されています。

しかし、東京大学の赤門は2020年に耐震基礎診断を行った結果、一部に耐震性能が不足していることが明らかとなり、2021年から閉鎖され、耐震診断が行われることとなりました。このように、御守殿の歴史的な門にも、現代における維持管理が求められているのです。

まとめ

従って、御守殿は江戸時代の文化や政治の中心的な役割を果たした場所であり、その建物や文化、そして女性の地位など、多くの側面から今もなお研究や討論の対象となっています。その歴史は、ただの建物としてだけでなく、当時の人々の暮らしや価値観を理解するための重要な手がかりとなります。

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