御府

御府（ぎょふ）

御府とは、東京都千代田区に位置する皇居の吹上御苑南端にある一連の木造倉庫群を指します。この施設は、明治天皇が日清戦争後の1896年に設立を命じ、その後の様々な戦争の功績を称えるために新たな施設が追加されていきました。

概要

御府は「朕が子々孫々に至るまで、忠勇なる陸海軍の功績を不朽に伝える」という明治天皇の意向のもとに建設され、戦利品や戦没者名簿などが収蔵されていました。第二次世界大戦後には御府は廃止され、多くの収蔵物が関係国に返還されました。現在でも、一部の建物は倉庫として利用されており、宮中儀式に用いる物品が保管されています。一般の人々には全面公開されていませんが、移築された一部の建物は新たな役割を持って公開されています。

施設の構成

御府は、戦争ごとに以下の5つの主要な施設が設けられました。

• - 振天府（しんてんふ）
• - 懐遠府（かいえんふ）
• - 建安府（けんあんふ）
• - 惇明府（じゅんめいふ）
• - 顕忠府（けんちゅうふ）

振天府

振天府は1896年に作られ、日清戦争での戦利品や戦死者の肖像を収蔵する場として設置されました。明治天皇は、戦士たちの功績を永遠に残すため、多くの物品や告知文書をこの府に陳列しました。特に、海軍と陸軍の戦利品はそれぞれに分類され、飾られています。また、御休所には広島の大本営から持ち込まれた品々もあり、歴史的な意義を帯びています。さらに、有光亭という軽やかなデザインの別棟も存在し、敵国から鹵獲した資材を利用して建設されました。

懐遠府

懐遠府は1901年に建設され、義和団の乱を契機に、日本将士の偉業を伝えるために設立されました。この府もまた戦利品や将卒の肖像が保管されており、1968年には皇居東御苑に移設され、「諏訪の茶屋」として一般公開されています。

建安府

建安府は1910年に建設され、日露戦争後の日本将士の功績を称えるために設立されました。施設内には海陸両軍の戦利品が収蔵され、また多くの戦没者の写真や名簿が陳列されていました。その後、使用されていた大型武器が分けられて保存され、モデル展示も整備されています。

惇明府

惇明府は1918年に建てられ、日独戦争関連の戦利品を保存するために設計されました。力を合わせて青島を包囲し勝利を収めた際の貴重な品々が収められています。

顕忠府

顕忠府は1936年に設けられ、日中戦争に係る物品を収蔵しました。これにより、御府は様々な戦争の歴史を記録として残し続ける場所となっています。

結論

今なお御府の建物は多くの歴史的価値を持ち続け、当時の日本の戦争の記憶を伝える重要な施設とされています。一般には公開されていない場所も多いため、興味のある方々は、移築された施設を訪問することでその一端を知ることができます。皇居内に隠された歴史の深さを感じることでしょう。

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