御斎会

御斎会（ごさいえ/みさいえ）とは

御斎会は、古代から中世にかけて宮中で開催されていた仏教に基づく正月の伝統行事です。この儀式は、毎年正月の8日から14日までの7日間にわたり、大極殿で『金光明最勝王経』の講説と吉祥天悔過を行う法会として位置づけられていました。特に、維摩会や最勝会と共に南京三会の一つとして数えられる重要な行事でした。また、別名では正月斎会や宮中斎会とも呼ばれていました。

起源と歴史的背景

御斎会の起源は、天武天皇9年（680年）にまでさかのぼります。この年、天皇の勅命により、全国の諸国で『金光明王経』を講読する斎会が実施されました。その後、神護景雲元年（767年）には、天皇の命によって宮中で行われる法会が始まり、天下泰平や五穀成熟、不祥の消除、国家の安保を目的とするようになりました。

当初は、この斎会に参加できる僧侶は三論と法相の僧に限られていましたが、延暦21年（802年）以降、南都六宗を迎えて講義を行うスタイルに変更されました。さらに、弘仁4年（813年）からは、結願日に僧侶を宮中に招いて、天皇の前で論議を行う内論議が設けられるようになりました。

密教との関わり

承和2年（835年）になると、同じ時期に密教に基づく後七日御修法が行われるようになり、これにより御斎会は顕教二趣による宮中の仏教行事として、その重要性を強めていきました。御斎会は、9世紀後半には著名な官僧が講師として参加するエリートコースへの道となり、この呼称が確立されたのもこの時期からです。

御斎会の終焉

御斎会は室町時代まで存続していましたが、南北朝や応仁の乱などの社会的混乱により、次第に中断される運命にありました。これらの歴史的背景は、当時の日本における仏教の発展と、宮中での宗教的役割の変遷を反映しています。

まとめ

御斎会は、古代から中世にかけて宮中で行われた重要な仏教行事であり、国家や社会の安泰を祈願する特別な意味合いが込められていました。経典の講説や法会を通じて、信仰の深まりが期待されたこの行事は、当時の宗教と政治の関係性を象徴するものでした。今日では、御斎会を通じた祖先の教えや儀式の重要性が認識されています。

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