御歌所

御歌所（おうたどころ）について

御歌所は、1888年に設立され、日本国憲法の施行前の1946年まで存在した宮内省の一部門です。この機関は、天皇の歌である御製や、皇后を含む皇族の歌をまとめることを主な役割としていました。また、月次歌御会や新年歌御会の執行、歌集の編纂や添削も手がけました。

歴史的背景

御歌所という存在は、明治天皇が和歌の振興を図る思し召しから設けられたもので、1869年に三条西季知による歌道についての命令が出されたことが契機でした。1871年には宮内省に歌道御用掛が設置され、さまざまな組織改編を経て1888年に御歌所として独立しました。

最初の御歌所長には高崎正風が任命され、彼は御製に関する業務を主に担当しました。1897年には御歌所の官制が定められ、職員が整備されます。所長や主事、寄人などの役職が設置され、各々が和歌に関する事務を遂行しました。また、1907年には官制が見直され、御歌所は宮内大臣の管理下に置かれることとなりました。

職員の役割

御歌所には、専任の職員が存在しました。所長は御製に関するすべての事務を取り仕切り、主事は日常業務を管理しました。寄人は歌の専門家として、歌御会の準備などを担当し、自身の歌道に関する知識を活かしていました。それに加えて、参候や録事といった名誉職も設けられており、儀式や庶務のサポートを行っていました。特に寄人は、歌道の技術を持つ者として重要な役割を果たしました。

組織の改変と廃止

御歌所は1912年以降数度の組織改変を経て、1921年には内局として位置づけ直され、その後も多くの文化事業に関与しました。とはいえ、1946年には廃止され、その業務は図書寮に引き継がれることとなりました。このように、御歌所は昭和初期においても日本の和歌文化を支え続けた重要な機関でした。

歴代所長と寄人

御歌所の歴代所長は高崎正風を皮切りに、入江為守や三条公輝といった著名な人物が就任しました。寄人としては黒川真頼や井上通泰など、学界や文化界で活躍した人々も名を連ねており、それぞれが歌道の発展に寄与しました。これらの人々は、明治天皇の御集編纂の一環として重要な役割を果たしたのです。

まとめ

御歌所は、明治から昭和にかけて日本の和歌文化を牽引した重要な機関でした。その活動を通じて、明治天皇や他の皇族の歌を次世代に残すための取り組みがなされ、和歌が文化の一部として深く根付く土壌が形成されました。

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