御油宿

御油宿の歴史と魅力

御油宿（ごゆしゅく）は、愛知県豊川市御油町に位置する、東海道五十三次の35番目の宿場です。この宿場は、江戸時代において主要な交通の拠点として栄えました。特に美しい松並木が残されており、その風情は訪れる人々を魅了しています。

歴史の歩み

御油宿は1601年、徳川家康によって開設されました。宿駅として最も多い時には4軒の本陣が存在し、最も少ない時には2軒にまで減少していました。また、宿場に伝わる言い伝えとして、尻尾の短い猫が「御油猫」として流行したことがあります。この猫は、御油から持ち込まれたもので、御油と赤坂の宿場駅間の距離の短さを尻尾に例えて称したとも言われています。

明治維新以降は、宝飯郡役所が設置され、地域の中心地となりますが、その後の旅客交通においては不利な状況が続きました。宿場は官営鉄道の経由地には選ばれず、結果的に鉄道が開通した御津や蒲郡に繁栄を奪われてしまいました。地元では「鉄道忌避伝説」という俗説が存在していますが、実際には地勢の問題が絡んでおり、鉄道局の技師が記した文書には、御油経由では急勾配を避けられないことが理由であったとされます。

その後、愛知電気鉄道（現在の名鉄名古屋本線）が開通し、本御油駅（現在の御油駅）が設置されましたが、当初の速達列車は停車しなかったため、宿場の繁栄は戻ることはありませんでした。最終的に、1959年には宝飯郡御油町が豊川市と合併しました。

観光スポットの魅力

御油宿には、多くの観光名所があります。まず「御油の松並木」は、国の天然記念物に指定されている美しい松並木で、訪れる人々がその景観を楽しむことができます。さらに、宿場の歴史を感じることができる「御油の松並木資料館」や、かつての宿場の中心となっていた「本陣跡」、歴史的な役割を果たしていた「高札場跡」や「問屋場跡」も見どころです。

加えて、御油の追分は本坂通（姫街道）との分岐点であり、歴史的な意味合いを持つ場所でもあります。姫街道は、旅をするお姫様たちが厳しい新居宿を避けるために利用した道でもあり、その歴史を知ることで、より深くこの地域の文化を理解することができます。また、ベルツ花夫人ゆかりの地も訪れる価値があります。

御油宿は、かつての宿場町の風情を今に伝える貴重な場所です。その美しい風景や豊かな歴史を体験するために、ぜひ足を運んでみてください。

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