御流神道

御流神道（ごりゅうしんとう）は、法親王などの特定の地位にある者に相承されてきた、独特な神道の流れを指します。この神道は、両部神道が真言密教と密接な関係を築く中で発展を遂げました。

御流神道の成立と発展

御流神道は、平安時代末期から鎌倉時代にかけて成立したと考えられています。成立当初から、様々な灌頂儀式とともに伝承され、その内容は密教の要素を色濃く反映していました。室町時代に入ると、密教的な儀礼に基づいた「御流神道加行法則」が確立され、その体系がより明確になりました。さらに、江戸時代初期には、八十通にも及ぶ印信形式が整備され、「御流神道口決」と呼ばれる口伝による教義も成立しました。これらの発展を通じて、御流神道は独自の思想と儀礼を持つ神道として確立していきました。

御流神道の核心には、密教の教えが深く根ざしています。灌頂儀式をはじめ、様々な儀礼や教義には密教的な解釈や象徴が用いられており、神道と密教が融合した独特の世界観を形成しています。特に、「御流神道加行法則」や「御流神道口決」は、その密教的性格を如実に示しています。

明治維新と御流神道の解体

しかし、明治維新を迎えると、御流神道は大きな転換期を迎えることになります。明治政府が発布した神仏分離令によって、神道と仏教は明確に区別されることになり、それまで一体として機能していた両者は分離を余儀なくされました。この結果、密教と深く結びついていた御流神道は、その存在意義を失い、解体されていきました。

御流神道の現代における影響

御流神道は、明治維新によって組織としては解体されましたが、その影響は完全に消え去ったわけではありません。今日でも、一部の密教寺院には、御流神道の印信や口決の名残が残されており、その歴史と伝統を物語っています。御流神道は、日本の宗教史において、神道と仏教が相互に影響を与え合い、独自の文化を形成していく過程を示す重要な事例の一つです。

御流神道の参考文献

* 櫛田良洪「御流神道」（『国史大辞典 6』吉川弘文館、1985年） ISBN 978-4-642-00506-7

この参考文献は、御流神道についての詳細な情報を得る上で非常に貴重な資料です。御流神道についてより深く学びたい場合は、この参考文献を参照することをお勧めします。

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