御湯殿上日記

御湯殿上日記の概要

『御湯殿上日記』は、宮中に仕える女性たちによって当番制で記される日記です。もともと清涼殿の側に設けられた御湯殿の上という控え室において、女官たちが交代で記録を残していました。この日記は主に女房文字で書かれており、時には天皇自身が筆を取ったとも伝えられています。

歴史的背景

『御湯殿上日記』は元々は宮中の機密に属するものであり、公開されることはなかったものの、後の世のために写本が作成されることもありました。その結果、文明9年（1477年）から文政9年（1826年）までの約350年分の記録がほとんど伝わっていますが、一部に欠落が見られます。特に、これらの記録は戦国時代の激動の様相を知る上で欠かせない資料となっています。

この日記の中には、宮中の出来事や女性たちの生活が詳細に記録されており、年中行事や文化活動、さらには皇族や公家との交流も含まれています。特に、宮廷の女性たちが用いた言葉やその文化を学ぶための貴重な資料ともなっています。

記録の内容

日記の主な内容は天皇の日常生活や宮廷における行事の詳細です。任官や叙位、プレゼントや献上品に関する記録も多く見受けられます。また、文芸や儀礼に関するトピックも豊富で、謡や舞楽、茶の湯、囲碁、蹴鞠などの活動について記されています。これにより、社会的、文化的な背景を垣間見ることができます。

重要性

この日記は、戦国時代における宮廷の人間関係、またその時代の政治なり社会状況を理解するために極めて重要かつ貴重な文献とされています。『群書類従』には、慶長3年（1598年）の記録も収められており、以降、宮廷史や政治史の研究において必須の資料として認識されています。

明応9年（1500年）から大永6年（1526年）までは記録に欠落がありますが、その後の記録は高い保存状態を保っています。また、正親町天皇の宸翰が載った元亀3年（1572年）の正月の日記原本が現存していることも、特筆すべき点です。

所蔵状況

江戸時代以降も、正本が約450冊も残されており、その中には慶長から延宝にかけての重要な記録も含まれています。特に、宮内庁書陵部では文化14年（1817年）から文政3年（1820年）の分が所蔵されています。

結論

『御湯殿上日記』は、宮廷の女性たちや天皇の日常を詳細に記録した貴重な史料であり、日本の歴史や文化を理解する上で欠かせない素材です。今後もこの資料が持つ意義を再評価し、研究が進むことが期待されます。

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