御福餅

御福餅：伊勢の銘菓、280年以上の歴史と伝統

御福餅は、三重県伊勢市二見町に拠点を置く御福餅本家が製造販売する、伝統的な餅菓子です。創業は280年以上前に遡り、長い歴史の中で地元に愛され続ける銘菓として親しまれています。見た目は赤福餅とよく似ていますが、別会社が製造しており、製法や味にも違いがあります。

優しい味わい、こだわりの素材

御福餅は、餅米（はくちょうもち100％）と小豆（きたろまん100％）を使用し、素材本来の優しい味わいを最大限に引き出した逸品です。餅の滑らかな食感と、上品な甘さの漉し餡とのバランスが絶妙で、口にした時の幸せを感じさせてくれます。

その高い品質は、1998年に第23回全国菓子大博覧会で菓子業界最高の栄誉である名誉総裁賞を受賞した実績からも明らかです。また、2020年には「第1回伊勢ブランド」にも認定され、伊勢を代表する銘菓としての地位を確立しています。

二見浦の波を表現した、独特の形状

御福餅の形状は赤福餅と似ていますが、そのデザインには異なる意味が込められています。赤福餅が五十鈴川の清流を表現しているのに対し、御福餅は二見浦の波の形状を模していると言われています。この形状にも、地元への深いこだわりが感じられます。

さらに、御福餅は現在でも手作りの工程を多く残しています。機械化が進んでいる赤福餅とは対照的で、職人の技が光る、まさに伝統の味が受け継がれています。

販売場所と歴史

御福餅は、直営本店（伊勢市二見町茶屋）のほか、伊勢自動車道のサービスエリアや名神高速道路の尾張一宮PA下り線などでも購入できます。かつては新幹線車内や関西地区の駅売店などでも販売されていましたが、現在は伊丹空港や関西国際空港の一部売店などで取り扱われています。

また、7月から9月にかけては、御福餅の餡を使用したアイスキャンディー「御福MAC（マック）」も販売され、夏ならではの涼しげな味わいが人気を集めています。

パッケージとブランドイメージ

御福餅と赤福餅のパッケージは、以前は非常に酷似していました。桃色を基調とした色使いや、和橋の図案など、一見すると見分けがつかないほどでした。しかし、現在は夫婦岩と富士山を背景にした朝日が描かれたデザインに変更され、明確な差別化が図られています。

消費期限表示偽装事件とその後

2007年には、消費期限表示の不正表示問題が発覚し、一時的に販売自粛を余儀なくされました。この事件を通して、企業として信頼回復に向けた努力を重ね、現在も消費者に愛される銘菓として販売を続けています。2018年にはパッケージと商品内容をリニューアルし、保存料を使用しない状態で消費期限を7日間へと延長することに成功しました。

赤福との関係

御福餅と赤福餅は、長年競合関係にありながらも、時には協力関係を築いてきた歴史があります。テレビドラマ『赤福のれん』では、御福餅をモデルにしたと思われる「おか福」が登場し、赤福との複雑な関係が描かれています。この物語からも、両社の歴史と伝統、そして地域社会における存在感の大きさが伺えます。

御福餅は、単なる銘菓としてだけでなく、伊勢の文化や歴史、そして人々の生活に深く根付いた存在と言えるでしょう。伝統を守りながら、未来へと繋いでいくその姿勢は、多くの人々を魅了し続けています。

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