二見浦

二見浦（ふたみがうら）

三重県伊勢市二見町に位置する二見浦は、今一色から立石崎にかけての海岸線を指します。時には、立石崎から神前岬までの海岸もその一部として捉えられることもあります。この地域は、伊勢湾に注ぐ五十鈴川の河口に形成された三角州地帯であり、その美しい景観から伊勢志摩国立公園の一部として、また国の名勝にも指定されています。さらに、日本の渚百選にも選ばれるほどの景勝地であり、かつては神宮参拝の禊場としても利用されていました。

夫婦岩

二見浦のシンボルとして全国的に有名なのが、二見興玉神社内にある夫婦岩です。この夫婦岩は、男岩と女岩が寄り添うように並び、注連縄で結ばれている姿が特徴的です。

二見浦海水浴場

二見浦海水浴場は、1881年に初代軍医総監の松本順によって開設され、翌年には内務省衛生局長の長与専斉によって日本初の公認海水浴場として指定されました。大正天皇も幼少時代に水泳の訓練をしたと伝えられています。当時、海水浴は医療目的（浴冶）として行われており、海に入る冷浴と、温めた海水に浸かる温浴がありました。海岸沿いには、海水温浴場を備えた初の旅館「二見館」をはじめ、潮湯治を謳う旅館街が形成されました。

二見浦のダイヤモンド富士

二見浦の風物詩として知られるのが、夏至の時期に見られる「ダイヤモンド富士」です。夫婦岩の中間がちょうど富士山の方向にあたり、その背後から昇る朝日が観測される現象です。この光景は「ダイヤモンド富士」という愛称で親しまれており、その出現時刻は4時29分頃で、約1週間程度観測できると言われています。この方角を静岡県に当てはめると、田貫湖畔で同様の「ダイヤモンド富士」が見られることでも知られています。

賓日館（ひんじつかん）

賓日館は、皇族や要人の宿泊施設として二見浦に建設された旅館です。1887年に竣工し、開館しました。現在は資料館として公開されており、唐破風の正面玄関、美しい庭園、当時の面影を残す客室など、一流の建築家や職人の技術が随所に見られる気品ある建物です。2004年には三重県指定有形文化財に、2010年には国の重要文化財に指定されました。

地質

夫婦岩のうち、大きい方の岩を男岩、小さい方を女岩と呼びますが、岩の表面に見られる縞模様の向きが異なっています。これは、1918年の台風で女岩が転倒した際に、修復時に岩の向きを変えて設置したためです。この縞は、地質学では片理面と呼ばれ、岩の種類は結晶片岩です。片理面は、近くの遊歩道にある岩石でも観察することができます。

交通

二見浦へは、JR参宮線二見浦駅から徒歩約10分でアクセス可能です。なお、駅名は「ふたみがうら」ではなく、「ふたみのうら」と読みます。

関連情報

二見浦に関連する施設として、夫婦岩、二見興玉神社、二見浦海水浴場、伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイスなどがあります。

外部リンク

二見浦 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
歌麿画「二見浦」 - メトロポリタン美術館

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