御称号

御称号（ごしょうごう）について

御称号とは、名称「称号」に接頭辞「御」が付加されたもので、日本の特定の皇族に対する独特の呼称を意味します。この呼称は主に幼少期に用いられ、宮号やその家系とは区別されています。

発祥と歴史

御称号の起源は奈良時代にさかのぼります。「○○宮」という皇族の居所が同時にその皇族本人を指す尊称となっていったのが、御称号の発展につながりました。幼少期にこの称号が与えられた期間は正確には不明ですが、中世には既にこの慣習が根付いていたようです。さらには、屋敷や荘園が家系に受け継がれる中で、御称号も世襲されるようになり、これが後の宮家の形成に寄与しました。つまり、宮家制度が確立されるに伴い、出生時の称号が宮号の継承や出家等が行われるまでの間、通常の呼び名となる運用がされていたのです。

近現代における御称号の運用

近現代に入り、御称号が与えられる対象は天皇の子女や皇太子の子女に限られています。これらの皇族は、主に成人を迎えてから宮号を授与されるのに対して、皇族女子は婚姻や降嫁を経て個別の姓を持つことが多く、従って御称号は主に幼少期から若年期にかけて使用されることが一般的です。

1889年に整備された旧皇室典範や1947年制定の現行皇室典範には、御称号に関する明確な規定はなかったものの、その付与方法は厳格に定められています。皇族が出生する際、その名や称号は宮内庁によって公式に告知されます。たとえば、明治34年に発表された告示には「降誕された親王、御名を裕仁とする」という内容が含まれています。

御称号の使用例

通常、御称号はその名と同時に使用されることは少なく、主に個別の呼び名として用いられます。例えば、「○宮」と表現されることが一般的であったり、歴史的文献や報道においてもそのように記載されてきました。明治時代の資料では皇孫に対する御称号の記載があり、昭和時代でも皇女の称呼に使われていますが、公式な文書では御称号の使用は避けられる傾向があります。

学習院に通った昭和天皇の第一皇女である照宮成子内親王のように、自身の名前だけを用いることもあれば、今上天皇の第一皇女である敬宮愛子内親王の場合も幼稚園入園式において「敬宮愛子」の名前が用いられて報じられたことがあり、現代においてもその使い方は多様です。

愛称としての御称号

また、御称号は時に愛称として親しまれることもあります。たとえば、東久邇宮稔彦王が自身の妃や子供たちに対して使用した記録には、成人や婚姻後であっても「泰宮」や「照宮」といった名称が用いられており、このように御称号は長い間にわたり愛称としても定着している面が見られます。

結論

御称号は日本の皇族が持つ特有の称号であり、歴史的背景や制度の形成と合わせて、近現代においてもユニークな運用がなされています。皇族の私生活における呼び名の使われ方や、時代を超えた愛称の持つ意味についても考えていくことが重要です。

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