御経塚遺跡

御経塚遺跡は、石川県野々市市御経塚1丁目に位置する縄文時代後期から晩期にかけての遺跡であり、その歴史的価値から国の史跡として指定されています。

遺跡の発見と調査

1954年、地元の中学生によって打製石斧などが発見されたことがきっかけとなり、御経塚遺跡の存在が明らかになりました。翌1955年からは、石川考古学研究会による発掘調査が開始され、数多くの遺物が出土しました。これらの出土品は、北陸地方における縄文時代晩期前葉の土器型式である「御経塚式」や「八日市新保式」の設定に寄与するなど、北陸地方の縄文時代後晩期の土器編年を確立する上で重要な役割を果たしました。特に、この発掘調査では、御物石器が出土状況が明確な状態で初めて確認されたという点で特筆されます。

その後も、大規模な開発などに伴い、発掘調査が重ねて行われました。その結果、膨大な量の遺構や遺物が見つかったため、遺跡の保存が重視されるようになり、1977年3月8日に国の史跡として指定されるに至りました。

出土品とその重要性

御経塚遺跡からは、多種多様な石器が出土しています。その中でも、土掘り具として使用されたと考えられる打製石斧が多く見られるほか、石鏃やスクレーパーなども出土しています。また、祭祀に用いられたと考えられる御物石器や石棒といった特殊な石器も数多く出土しており、当時の人々の生活や文化を知る上で貴重な資料となっています。

これらの出土品は、「御経塚遺跡出土品」として、2010年6月29日に重要文化財に指定されました。

史跡公園としての整備

現在、御経塚遺跡の周辺は史跡公園として整備されており、訪れる人々に縄文時代の雰囲気を体験できる場を提供しています。公園内には、復元された竪穴建物などがあり、当時の人々の暮らしを垣間見ることができます。

アクセス

御経塚遺跡へのアクセスは、以下の通りです。

北鉄バス：「御経塚中」下車すぐ
のっティ北部ルート：「御経塚史跡公園」下車すぐ
IRいしかわ鉄道線：野々市駅下車、徒歩10分

参考文献

高堀 勝喜 編著『野々市町御経塚遺跡』野々市町教育委員会 1983年
* 布尾和史2013『北陸の縄文世界 御経塚遺跡』(シリーズ「遺跡を学ぶ」087)新泉社

御経塚遺跡は、北陸地方の縄文文化を理解する上で欠かすことのできない重要な遺跡であり、史跡公園として整備された現在も、多くの人々に親しまれています。

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