御都合主義

御都合主義（ごつごうしゅぎ）

御都合主義とは、言動や主張に一貫性がなく、状況に応じて態度や考え方が変わる傾向を指します。特に物語の文脈では、ストーリー展開が制作者にとって都合の良い方向に進む様子が強調されることがあります。この現象は、しばしばオポチュニズムと呼ばれ、日和見主義とも関連づけられます。ここでは特にフィクションにおける御都合主義に焦点を当てます。

物語における御都合主義は、通常、事前に設定されたルールや伏線を無視したり、後付けの設定や奇妙な偶然を利用して、ストーリーを強引に進める手法を指します。この手法は、観客や読者が物語に期待する一貫性や論理性を損なうため、批判の対象となることが一般的です。特に、合理的な因果関係が欠如している場合、物語の盛り上がりが失われ、全体の流れが台無しになることがあります。

例えば、あるキャラクターが突然予想もつかない行動をする、または登場しなかったキャラクターが重要な役割を果たすようになると、視聴者は違和感を覚えるでしょう。従来の流れやキャラクターの成長が無視されることで、物語に対する没入感が薄れることがあります。これにより観客が物語をしらけさせてしまうため、御都合主義が批判的に扱われるのです。

ただし、必ずしも御都合主義は否定されるわけではありません。例えば、官能小説やアクション映画など、特定のジャンルにおいてはその手法が許容されることもあります。こうした作品では、ストーリーのリアリティよりもエンターテイメント性が重視されるため、御都合主義が受け入れられる場合があります。

文学的には、御都合主義に対する捉え方は多様です。著名な作家の中には、物語の因果関係や論理性にこだわるあまり、逆に作品が面白さを欠くと指摘する意見もあります。日本の作家、芥川龍之介はその著作『侏儒の言葉』において、このテーマに関連する考察を展開しています。

御都合主義が見られる具体例として、例えば「デウス・エクス・マキナ」という手法があります。この手法では、状況が突然、ある種の急転直下の解決策や偶然によって解消されるものです。これもまた、物語の予想外の展開を生み出す手段となりますが、それが唐突すぎると批判の対象にもなり得ます。

他にも、物語の展開において特定の「お約束」と呼ばれる要素が存在します。これらは、特定のフォーマットや構造に沿った展開が期待される場合に使用されることが多いです。従って、御都合主義の存在が必ずしも物語の中で悪い影響を及ぼすとは限らず、文脈によって評価が分かれることがあります。

このように、御都合主義は物語に多様な影響を及ぼし得る複雑な現象であり、それをどのように活用するかは、制作者の意図に大きく依存することが分かります。

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