復活日論争

復活日論争についての詳細

復活日論争（英語: Paschal controversies、ドイツ語: passahstreit）とは、キリスト教において復活祭（パスカ）をいつ祝うかという問題で起こった議論を指します。初代教会では復活祭はユダヤ教の過越の祭りと同様、ニサンの月の14日に祝われていました。しかし、キリスト教が世に広がるにつれ、復活祭を祝う日に関する意見の違いが生まれ、特に2世紀ごろから活発な論争が発生しました。

古代の論争

小アジアの教会は長い間、ユダヤ教の過越祭に従いニサンの月の14日に復活祭を祝っていました。それに対し、ローマなど多くの地域ではイエスの復活日である日曜日を主に重視し、復活祭は「ニサンの月の14日の後の最初の日曜日」に祝う習慣が広がりました。この相違が浮き彫りになったのは2世紀のことで、154年には小アジアの神父ポリュカルポスとローマの教皇アニケトゥスの間で重要な会談が行われました。170年代にはラオディキアでさらなる論争が起こり、190年代になってもこの問題は続いていました。

特にローマのウィクトル1世は、日曜日に復活祭を祝わない教会に対して厳しい態度をとり、破門をも辞さない姿勢を見せました。しかし、この強硬な取り組みは彼の同僚となる司教たちの支持を得られず、むしろ小アジアとの対立を助長する結果となりました。リヨンの司教エイレナイオスは、この状況を緩和させるために重要な役割を果たし、双方の理解を深める努力をしました。彼の調停により、少数派の「十四日教徒」を除き、小アジアの教会は徐々に他の教会との統一に向かいました。

325年に行われた第1ニカイア公会議では、すべての教会が同じ日曜日に復活祭を祝うことが決議されました。ただし、ローマとアレクサンドリアの間でも暦法の違いによる日付の相違が残りましたが、ローマはアレクサンドリアの暦法を取り入れることでこの問題を解決していきました。

16世紀以降の変遷

16世紀になると、西ヨーロッパの国々がグレゴリオ暦を採用し、これまでユリウス暦を用いていた東方教会との間で再び復活祭の日付の相違が生じました。1997年にはシリアのアレッポでキリスト教の異なる教派の代表が集まり、復活祭の日付の統一に向けた議論が行われましたが、依然として統一には至っていません。

最近では、一部の提案として復活祭の日付を月齢と切り離し、例えば4月の第二日曜日に固定することが挙げられていますが、広範な支持を得るには至っていません。西方教会において、グレゴリオ暦での復活祭が最も早く祝われる可能性がある日は3月22日で、最も遅い日は4月25日であることが知られています。それぞれの年で復活祭がこの日になることは稀であり、次回この日が復活祭となるのは、2285年や2038年など遠い未来となっています。

このように、復活日論争は歴史的に見ても複雑な背景があり、現代においてもキリスト教のさまざまな流派によって様々な見解が存在する重要な問題です。

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