循環風呂

循環風呂とは

循環風呂とは、温泉施設における給湯・排水方法の一つです。源泉から湧き出た温泉、または機械的に汲み上げた温泉を浴槽に供給し、浴槽から溢れ出た湯をオーバーフロー槽に貯めます。その後、濾過などの処理を行い、塩素系の薬剤を加えて再び浴槽に戻す方式を指します。これは、源泉掛け流しと対をなす言葉として使われ、一般的に日帰り入浴施設などで多く採用されています。

循環風呂と掛け流しの見分け方

循環風呂と掛け流しを見分けるポイントはいくつかあります。ただし、施設の形態によって異なる場合があるため、明確な区分は難しいのが現状です。

浴槽の構造: 浴槽の底部に集水溝があり、そこから常時集水している場合、循環風呂の可能性が高いです。また、湯の供給量に対して湯がほとんど溢れ出ていない場合も同様です。
オーバーフロー: 浴槽から湯が溢れ出ていても、特定の場所（浴槽の縁の凹部など）からのみ溢れ、かつ洗い場の水や雨水などが混入しないように集水されていれば、循環式の可能性があります。
露天風呂の屋根: 露天風呂に雨が降り込まないように屋根が設置されている場合、循環式の可能性が高いと考えられます。
塩素臭: 塩素系消毒剤の臭いが強い場合も、循環風呂である可能性が高いです。
湯の供給場所: 循環風呂の場合、浴槽内部からお湯を供給している場合があります（地域によって異なります）。
温泉街の状況: 火山地帯の一軒宿ではないにもかかわらず、多くのホテルや旅館が林立する温泉街で、100名程度が入浴できるような大きな大浴場は、原則として循環式であると考えられます。

循環風呂の利点

循環風呂には、以下のような利点があります。

節水効果: 濾過・循環を行うことで、源泉の使用量を節約できます。
経費削減: 源泉の使用量削減により、下水道料金などの経費を削減できます（ただし、源泉掛け流しの場合、雨水扱いとなるため下水道料金は発生しません）。
温泉資源の保護: 温泉の枯渇を防ぐことができます。
衛生管理: 大人数が入浴する場合でも、衛生管理を維持しやすくなります。

循環風呂の欠点

一方で、循環風呂には以下のような欠点も存在します。

塩素消毒: レジオネラ菌の繁殖を抑制するために、塩素系の薬剤を投与し、残留塩素を一定時間、指定値に保つ必要があります。
温泉成分の損失: 濾過を行うため、温泉の有効成分が損なわれてしまう可能性があります。
入浴剤の使用制限: 塩素系薬剤を使用すると、色素などが無効になるため、季節の変わり湯など、入浴剤の使用が難しくなる場合があります。
温泉の香りの消失: 塩素系薬剤の臭いにより、本来の温泉特有の香りが失われることがあります。

参考文献
温泉教授の温泉ゼミナール (光文社新書)
これは、温泉ではない (光文社新書)

外部リンク
* 横浜市衛生研究所：24時間風呂を使っているのですが...

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