微笑み走法

微笑み走法とは、文字通り微笑みながら走ることを指し、主に陸上競技、特に長距離走やマラソンなどの種目で用いられることがあります。

この走法が注目を集めるきっかけとなったのは、2002年の国際千葉駅伝でした。当時、日本ナショナルチームのメンバーとして出場した佐藤敦之選手（中国電力・早稲田大学出身）が、区間賞を獲得する際に笑顔で走っていたことが話題となりました。レース後、記者からインタビューを受けた佐藤選手は、この走法について説明し、その考えを語りました。

佐藤選手は、日本人にとって長距離を走り続けることが「苦しいこと」「辛いこと」と思われがちであるという認識を示しました。その上で、自身があえて微笑みながら走ることで、「走ることは決して苦しいことではなく、楽しいこと、面白いことでもある」というメッセージを沿道の応援者やテレビ観戦者に伝えたいと述べました。彼の言葉からは、走ることへのポジティブな姿勢と、それを共有したいという思いが伝わってきます。

しかし、その後、佐藤選手は中国電力の坂口泰監督から、微笑み走法を封印するように注意を受けました。そのため、現在では佐藤選手の微笑み走法を目にする機会はほとんどなくなっています。競技としての結果を追求する上で、走法が制限されることもあるという一例と言えるでしょう。

実は、佐藤敦之選手によって微笑み走法が広く知られるようになる以前から、この方法を取り入れていた選手もいました。大平美樹選手（三井住友海上）もその一人です。また、アテネオリンピックや北京オリンピックの女子長距離走代表である福士加代子選手（ワコール）は、微笑みというよりも時折満面の笑みを浮かべながら走る姿が見られます。特に2002年の都道府県対抗女子駅伝でアンカーを務めた際には、終始笑顔で走っていたため、解説を務めていた山下佐知子氏（第一生命監督）から実況中に苦言を呈されるという場面もありました。福士選手の笑顔は、彼女自身の楽しさを表現するものであり、沿道の観客にも明るい印象を与えました。

微笑み走法は、単に笑顔で走るというだけでなく、走ることへの肯定的な感情や楽しさを表現する手段としての側面を持っています。また、見る人にも良い印象を与えることができます。しかし、競技の性質や指導者の考え方によっては、制限を受けることもあるようです。

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* 陸上競技

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